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模擬刀の拵え

 私の住んでいる相模原市渕野辺は、駅の近くに桜美林大学と青山学院大学があるためか、居合道の部員と思しき居合刀の合成皮革ケースを担いだ若い男女をよく見かけます。

 で、自分がやっていると、やっているらしき他人も気になるもので、私なんか「ほほ~、居合やっているのか?」と思って、つい目が向くんですね。

 長く修行している人だと気さくに声をかけてこられる場合もあるんですが、若い人はまず声をかけてくることはないですね(私もそうですけどね)。

 でも、私くらいのオッサンが居合ケース担いでいると、ジロジロ見る人もいますから、いつもは釣道具のケースに入れています。それでも、たまに居合ケースに入れて担いでいると、電車の中でチラチラ見る若い人もいますね。

 大太刀をケースに入れていると、逆に誰も刀だとは思わないようですが・・・。

 やってる人でないと中に刀が入っているとは思わないでしょうけれど、模擬刀入れている人か真剣入れている人かは割りと判ってしまいますね。

 真剣は高いから学生とかはまず入れていません。それと、大体、刀袋に入れてからケースに入れている人が多いので、ケースの膨らみ具合が違いますし、真剣を使って居合をやる人の場合、居合道着などをバッグに入れて一緒に持ち歩く場合がほとんどです。

 それと、真剣を入れている人は何か態度が落ち着いています。

 普通、気になってオドオドしそうに思うでしょうが、それは初めて持ち歩いた時くらいで、稽古にしょっちゅう持ち歩くようになれば逆に落ち着きが出てきますよ。安心感とでもいいましょうかね?

 こういう、精神面に影響して態度に出るということは模擬刀の場合はほとんどありませんね。だって、武器として使えるものではありませんから・・・(木刀のほうがマシ)。

 古武術やっている人の中には真剣を刀袋に入れたまま持ち歩く人もいますが、これは周囲への無意識の示威行為という側面があるので、あんまり誉められたものじゃないと私は思っています。周囲を威圧するのは精神の欠陥を匂わせますから・・・。

 けれども、最近、確かに一種の武士道ブーム、日本刀ブームが出てきたような印象は受けますね。まだ、目立ったほどじゃありませんが、世の中の混迷の中で“頼るべきは自分”という認識が広がってきているんじゃないか?と、そう思えます。


 さて、模擬刀代わりに使うのに刃挽きにしていた真剣(クエストのDVD『武術秘伝の活用』の時に居合術の演武で私が使っていた刀で江戸時代初期の頃の無銘新刀)を研いで刃を付けてしまったので、稽古指導用に使う模擬刀の適当なものが無くなってしまいました。

 調子に乗って真剣ばかり揃えてしまったので、模擬刀の拵えを外して真剣を入れたりしていて、亜鉛合金の刀身だけはあるんですが、鞘がない。

 一応、真剣を入れている鞘に合う模擬刀を使ってはいたんですが、これが廉価版のために作りが粗雑で稽古に使うには強度的にも不安がありました。

 柄がプラスチックなのは良しとして、茎が中でガタつくし柄糸の巻きも甘い。この作りの粗雑さが問題です。

 ちなみに、私の持っている重ねの薄い軽い刀(多分、幕末の新々刀だと思われる無銘の刀)は、模擬刀の拵えをそのまま流用していますが、プラ柄をきっちり整形して合わせ、黒牛革の柄糸をしっかり巻いていますが、刀身が軽いこともあって、実用強度上は問題を感じません。

 実際、これで細竹を斬ったり、吊るした厚紙を抜き斬りにしたりする試し斬りも何回も試していますが、別に問題ありません。

 柄の材質がプラスチックのものは問題外で危険だと言う方もいらっしゃいますが、朴材の柄と強度を比べてみたんですけど、ガタつきがないようにしてしっかり巻けば朴の木で作ったのとそんなに変わらないように私は感じますね。

 確かにガタつきがあると割れるかもしれませんけど、木材よりは粘りもあるから割れやすいということもないし、きちんと整形して茎が収まるように削って接着し、柄糸をしっかり巻けば、それなりに充分、使えます。

 朴材の居合練習用の模擬刀の柄が練習中に折れたり割れたりしたのは目の前で見たことがあるので、私は真剣の拵えを自分で作る時は朴は使いません。居合用の柄木だと鮫革でくるむようになっておらず(飾りとして貼り付けてあるだけ)、粘りのない朴だと割れやすいのではないか?と思います。

 白鞘なら肉厚があるのでピンとこないかも知れませんが、通常の拵えにするとかなり薄く削り込まれるので朴だと保たないと思いますね。

 私がこれまで使った柄材は、最初がケヤキ(繊維の隙間が多いのが難点)、次に白樫(堅過ぎて加工し難く粘りも足りない)を使い、その後は桜を使うようになって、この桜が気に入って、以後は、毎度、桜材で作っています。

 樫ほどの堅さはありませんが、材質に粘りがあるのと樫に比べて加工しやすく、柄材としては適していると思います。

 中国武術で用いる棍や槍に用いる白蝋(柳科)も粘りがあって良いかもしれない・・・とも思っていますが、聞くところでは虫に食われやすいという話もあるのと、少し弾性があり過ぎるかも?と思って、まだ試してはいません。そもそも、適当な材木が日本では入手できないですし・・・。

 けれども、柄を本格的に作るのは結構苦労しますし、最低、柄用材木・薄刃のノコギリ・ノミ・ヤスリ・彫刻刀・紙ヤスリ・接着剤・鮫革・目貫・目釘用竹(竹刀用の竹がいい)・縁金具・柄糸が必要になります。

 製作用の工具類はともかく、鮫革や柄糸はちょっと手に入らないでしょう。鮫革は東急ハンズのレザー・コーナーで売っているエイの染めた革を私は使っていますが、柄糸は水道橋の尚武堂武道具店でしか売っていませんでした。普通の武道具店では入手できなかったのです。

 まあ、「柄を自作する人なんかいない」という前提で、一般向けには売らないんでしょうけどね。

 ですから、美術刀の部品を流用するというのは、そもそも、最初からそれなりの部品にできあがっているので、個別に部品を集めなくてもいいし、柄の太さなどを調整して削るとかする必要がなく、結果的に安上がりだったんですね。

 稽古用だし、何千~何万もかけて揃えるのも馬鹿らしい。それなら別に模擬刀買ったほうが結局は、安い。

 プラ柄も、茎との一体感だけ考えてエポキシパテとかで調整するだけで良いから、私は一概に否定はできません。素材も調理法によって化けたりするのと同じですよ。

 ただし、真剣を用いて本格的な畳表巻いたものの試し斬りに用いるのなら、柄は本格的にしっかり作ったほうがいいと思いますよ。

 柄木は丈夫な桜を用いて金属の板を挟み込むとか針金を巻いて補強するとかして鮫革を被せて柄糸をしっかり巻いて作るべきだと思います。

 この点に関しては、私は職人さんが作ったものであっても、ちょっと信頼して使う気持ちにはなれないですね。自分で作らないと安心できません。

 現代刀は美術品なので、見た目を重視して作るのが当然。誰も、実用の戦闘に使う刀の拵えを作ろうとは思っていないからです。

 以前、居合用模擬刀の柄が練習中に折れたのを見たことがあります。ただ、思いっきり振って止めただけ・・・。

 やっぱり刀を振る時に瞬間的に柄にかかる力というのは凄いもんですね。使い手が下手だといえばおしまいですが、でも、あれが実戦やってる最中に起こったら悲惨ですよ。

 どちらにしても、柄の中で茎が動かないように作るのが重要でしょう。柄材と茎がピタッと一体化するように作るのが最も重要なことです。

 真剣でやってはいけませんが、模擬刀だったら接着剤を流し込んで完全に固めてしまってもいいくらいだと思います。

 実際にものを斬ったり打ち合う時の衝撃は凄いものがある筈ですからね・・・。


 そんな訳で、稽古用に使う模擬刀を新たに買うお金もないので、久しぶりに模擬刀の改造をやってみました。

 ガタつきの原因を探るには柄を分解してみるしかありません。

 目釘を目釘抜きで押し出して、鐔に親指をかけてぐいっと引くと、わりとスンナリ、茎が抜けました。

 あ~、こりゃあひどい・・・。茎はバリだらけでメッキも膨れて剥げかかっています。

 元から緩かった柄糸も引き剥がすようにすると、ベリベリとボンドから剥がれます。いや~、これもひどい・・・。巻きが緩いのをごまかすのにボンドでベタベタに接着しています。適当過ぎますね~。仕事に愛が無いな~。

 龍の目貫も上下が逆だし、本来は二つ別のもので一対になっている筈なのに、同じものが対になっていたりして、実にぞんざいな作りです。

 まあ、武道具店で売ってる二万円以上のものと、土産物屋で売ってるような一万円以下~数千円で売られているようなものでは材質も仕上げも差があってあたりまえです。

 柄糸を剥がして、プラの柄を二つに分解すると、これもバリが残っていてガタつく筈ですよ。柄の内側の穴と茎が密着していないから、ガタガタしていた訳です。

 早速、彫刻刀でバリを削り取ります。

 刀身はメッキが剥がれかかっていてみっともないから、別の模擬刀の刀身を使うことにして試しに嵌めてみたら、目釘穴も何もかも全てピッタシ。美術模擬刀は規格が統一されているのかも知れませんね。刀身の長さ以外は結構同じみたいです。

 真剣だと、一振り一振り、全てハンドメイドなので微妙に違うものなんですけど、模擬刀は金型がある筈なんで、こうなるんでしょうね。ちなみに模擬刀は廉価のものは亜鉛合金の鋳物で、居合稽古用のものだと真鍮の合金の鋳物、どうしても型に流し込む時に空気が混ざって“す”と呼ばれる空気の穴みたいなものができてしまうので、砂型で成型して“す”ができないようにした高級居合用模擬刀も最近は作られています・・・。

 取り替えた刀身にはおしゃれな樋も入っていて、振ると風切り音が鳴る。樋が入ってなくても風切り音が鳴るように振れるものですが、相当なスピードが必要。強度が落ちると嫌がる人も多いですが、樋入りの刀は初心者が刃筋が通って振れているかどうかの確認にはいいのです。

 刃文も大乱れだし、少しばかり長寸(二尺四寸五分くらい)。武道具店の居合稽古用の模擬刀並に見えるから、こっちに決定!

 バリを取っただけで納まりはバッチリで、これはもう、このまま柄糸をしっかり巻けば完成するな?と思ったんですが、残念ながらハバキが薄くて真剣の鞘ではスカスカになって納まりが悪いんですね~。

 これはハバキに何か張り付けるか?とか対策を考えていたら、ふと、ハバキの底の穴に太い鏨とか突っ込んでハンマーでガンガン叩けば、ハバキの底が広がって納まりが良くなるのでは?と思いつき、明け方近くに、ついアイデアを実行してしまいました。

 すると、しばらくしてピンポーンとチャイムが・・・。

 しまった。近所迷惑で苦情が出てしまったかも・・・と思って、バックレて寝ました。

 皆さん。アパートやマンションで暮らしている方は御近所に迷惑にならないように充分、お気をつけくださいませ・・・。


 ハバキの納まり具合を調整し、後は柄糸を巻き直すだけ。ところが、ここで予期せぬ困った事態が発生!

 何と? 柄糸の長さが足りなくなってしまったのです・・・何で?

 柄の長さは変わらず、巻きもキツクしたから、普通だったら余る筈だと思ったんですが(実際、以前に巻き直した時は余った)、現実には逆に足りなくなっている・・・。

 何でかな~?と考えてみたんですが、恐らく、キツク巻き過ぎて引っ張られた糸の幅が狭くなり、その分、余計に巻いてしまって長さが足りなくなったものと思われます。

 この柄糸だって結構な値段がするんですよね。真剣用なら別に構わないけど、模擬刀のためにわざわざ買うのもバカらしい・・・。

 じゃあ、どうするか? しばらく考えて、柄の寸法を切り詰めて糸の長さに合わせることにしました。

 2cmくらい柄を薄刃のノコギリでジョリジョリと切断してみました。縁頭の金具の穴(柄糸がここに通る)用の切り込みもノコギリとヤスリと彫刻刀を使って成型。木材よりちと堅いけれど木目もなくて癖がないからプラ柄は、切ったり削ったりの加工が楽。

 これで柄糸を巻くと、今度はバッチリ、少し余る程度で巻き切りました。目測で適当にやった割りにはバッチリで、手慣れてくると職人の勘も働くもんですな~。

 柄巻きは、一番オーソドックスな諸手捻り巻きで仕上げましたよ。最近は、目貫のところだけ捻り巻きにして、その他の部分は捻らないで平巻きにするという変則的な巻きを工夫していたんですが、今回は“普通”にしました。

 出来上がった柄を握ってみると、エラク短くなったような気もしますが、実際の見た目はさほど変わりません。2cm短くなっただけで、こんなに感覚が変わるものか?と、ちょっとビックリしました。

 でも、バランス的にはこれくらいが丁度いいみたいです。美術模擬刀の柄は鑑賞用にやや長目になっているみたいなんですね。

 短くなった分だけプラ柄特有のシナリも少なくなった感じもするので、これはこれで実用上の貴重な研究になりそうです。

 しばらく、遊んでいると手に馴染んできて、何かいい感じです。もっとも、そうなると刀身がちょっと長過ぎるかな~?という気もしますが、最近、定寸よりちょっと短か目くらいが使いやすいように思えてきているからでしょうかね?

 このくらいの柄の長さだと二尺一寸くらいがいいかも知れません。伯耆流や関口流のような柔術と併伝されている居合術に使う肥後拵えのものにしてみるといいかもしれませんが、南蛮鉄で作ったという藤原綱廣の刀で作ってみようかな~?と思っています。

 あっ、ちなみに南蛮鉄について少し調べてみたんですが、インドの古代鉄にウーツ鋼というのがあって、これがダマスカス・ナイフなんかの古い時代の刀剣の材料になっているんだそうで、日本に最初に入ってきた南蛮の鉄というのもウーツ鋼だという話を聞いたんですけどね。

 現代のダマスカス・ナイフは模様のパターンを面白く作るために、スチールワイヤーを加熱鍛造したワイヤー・ダマスカスとか、性質の異なる鋼を積層してドリルやヤスリで表面に疵をつけて更に鍛造して作るラダーパターン・ダマスカスとか、種類の違う鋼の小片を積み重ねて鍛接するモザイク・ダマスカスとか、人為的に規則的なパターンが現れるように作られるのですが、日本刀の折り返し鍛錬の場合は不規則な積層模様が細かく現れる“結果的に出来た機能美”なんですね。

 ウーツ鋼については私は詳しく知らないんですが、「インドの古代の鉄柱が千年近く錆びないで立っている」みたいなムーみたいな話を思い出して、ちょっとワクワクしますけどね。

 先日、スウェーデン鋼で作った刀というものを青木先生に見せていただいた時、刀匠の方が竹とかを沢山斬っても斬れ味が悪くならなかったみたいにうかがいました。

 和鋼が特別に優れていると思いたいのが日本人としての情ですけれど、鉄というのはまだまだ奥深い元素なのかもな~?なんて思うと、研究者魂が慄えますね~。


 話は変わりますが、時代劇専門チャンネルで五社英雄監督、仲代達矢主演の『丹下左膳 剣風!百万両の壷』をやっていまして、私は五社監督のケレン味のある劇画タッチの時代劇が大好きなんで、喜々として見ました。

 この作品、ヨロキン主演の『丹下左膳 飛燕居合斬り』のリメイク作品なんですけど、正直いって、このTV時代劇版のほうが出来がいいと思うんですよ。

 何といっても松尾嘉代がメチャメチャ熱演していてカッチョイイ。オッパイ出して啖呵切るところとか『子連れ狼・三途の川の乳母車』の柳生鞘香、『闇の狩人』の原田芳雄を付け狙う女盗賊の時以上の大熱演です。

 それに、伝説の女優、夏目雅子が薄幸のヒロインを演じていたり、佐藤京一先生や夏八木勲先生の凄みのある敵役や、嘉代の子分役の桜きんぞうも演技達者ぶりを見せていて、非常に見ごたえがあります。

 それに丹下左膳が何故、片目片腕になったのか?というシーン(仲代先生を騙し打ちにするのはヤラレ役一筋でハリウッドデビューも果たした福本清三さん)を冒頭で見せて、元の名前が丹下左馬之介という名前だったことも判って、ハードボイルドな男の美学が漂う大傑作です。

 踊りながら攻撃してくるクノイチとか見てると、『忍者武芸帖・百地三太夫』でファイヤーダンスを踊る真田宏之とか、劇場版『服部半蔵・影の軍団』でアメフト・スタイルで戦う忍者軍団とかを思い出します。

 仲代さんは、決して殺陣が上手いという訳でもないんですが、あの独特なデェ~~~イみたいな大仰な刀捌きが何か好きで、特に『御用金』『雲霧仁左衛門』『闇の狩人』といった五社監督作品での殺陣がいいですね。『雲霧仁左衛門』での佐藤京一先生との田圃の中での決闘や、『闇の狩人』での千葉ちゃんとのラス立ちは特に印象的でした。

 五社監督といえばTV時代劇の伝説となった『三匹の侍』の産みの親として知られています。晩年は女性文芸大作の監督として世間的には認知されていましたが、やっぱりチャンバラ物がいいですね~。

 夏八木先生の映画デビュー作という『牙狼之介』では、佐藤京一先生演じる小猿を連れた唖の賞金稼ぎが原型になって、後に若山先生が主演してTVシリーズ化した『唖侍・鬼一法眼』になったそうです。

 続く、『牙狼之介・地獄斬り』では、狼之介が自分の父親そっくりの凄腕の浪人、西村晃と出会って宿命的な対決に到る過程が泣けます。

 西村晃さんは二代目黄門様を演じた人として広く知られるところですが、世界初?の人造人間“学天則”を発明した西村真琴博士の実子であり、『帝都物語』では実父である西村博士役を演じられていました。

 怪優としてのイメージもあった西村晃さんですけど、実は殺陣が上手いことでは定評があって、『十三人の刺客』『十一人の侍』での達人っぷりが有名ですが、TVシリーズ『子連れ狼』での柳生烈堂や、『宮本武蔵』や『柳生新陰流』での柳生石舟斎、国広富幸版『新吾十番勝負』での柳生如雲斎(兵庫介利厳の晩年)等々、妙に柳生と縁のある人でした。

 あっ、柳生といえば、東映チャンネルで『柳生武芸帳』のTVスペシャルを放送していましたね。

 こちらは主人公、十兵衛を松方弘樹が演じて、但馬守宗矩と仇役の山田浮月斎(疋田陰流)をヨロキンが演じるという凄い内容で、当時、結構インパクトありましたよ。

 この作品は松方さんのパパで殺陣の名手として数多のチャンバラ好きがナンバー1と評価する近衛十四郎の当たり役として有名で、特に原作(五味康祐)を離れて原作が紙屋五平という名前になったオリジナルの『十兵衛暗殺剣』が最高傑作とされています。

 大友柳太朗演じる幕屋大休は実在の剣客で、柳生石舟斎とライバル関係だった松田織部之助(松田派新陰流)のひ孫に当たります。彼は上泉の新陰流正統を名乗り、次々に柳生の門弟を倒していきますが、これが脇差一本の片手斬りで大刀を打ち折る秘剣の遣い手。十兵衛も悲鳴をあげて恐怖をあらわにする凄腕っぷりで、実際に古流居合術などをいろいろ習っていたという大友柳太朗のベスト悪役っぷりでした。

 ちなみに、ここで大友が遣った右手で脇差を持ち、左掌を敵にかざす構えは天真正伝香取神道流のお家芸である“笹隠れの構え”。NHK版『蝉しぐれ』の空鈍流(夕雲流二世の小出切一雲が晩年名乗った“片桐空鈍”の名を冠した流儀名)の極意“村雨”に流用されておりました・・・。

 だけど、不思議なことに誰もが近衛十四郎を評するばかりで大友のあの凄みのある剣捌きを評価しないのが不思議ですね~。近衛十四郎の殺陣の凄さなら、シリーズ中では『無頼の谷』と『片目の忍者』が凄いと思う。『十兵衛暗殺剣』では断然、大友が迫力があったと思うけど・・・。

 まあ、余談が過ぎましたけど、そんなパパの当たり役を演じたTV版柳生武芸帳の松方さんですが、天守閣の上での対決とか見せ場も多くて面白い作品でした。ヨロキンの浮月斎がまた不気味なんです。最初はヨロキンだと気づかなかったくらい。

 が、その当時、十兵衛のイメージは千葉真一という強烈なスリコミがあったので、松方さんの十兵衛にはちょっと違和感を感じたものでした。松方さんは現代任侠物のイメージが強いんですよね。だから、『密命~寒月霞斬り』の悪役っぷりは見事でしたよ。

 この作品もテレ東とかで上川隆也主演でやればいいんじゃないかな~?

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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