長野峻也ブログ

武術研究家、長野峻也の色んなエッセイ?を掲載します。リンクフリーです。HPもご覧ください【http://www7a.biglobe.ne.jp/~yushinryu/】リニューアルしました!

年始は時代劇と空手映画三昧

 いやはや、結局、風邪も治らず年を越してしまい、未だに咳が出ると止まらなくなる状態で困ったもんです。

 出掛けて帰ると咳が出る。だから、なるべく出歩かないで部屋で暖房効かせてTV三昧でしたよ。

 でも、年末年始って、芸能人が自分たちで楽しんでるだけみたいな番組も多くて、必然的に私はケーブルTVばっかり観てたんですけどね〜。

 ただ、昔の時代劇スペシャルとかが観れて面白かったのは、杉良太郎の『鳴門秘帖』とか、マサカズ様の『刀化粧』とか里見浩太朗の『寛永風雲録』等々。

 杉良太郎は『たけしの誰でもピカソ』に出た時の殺陣が非常に良かったんですけど、これまで実はあまり注目して見たことなかったんですよ。

 どうしてか?というと、合気道を駆使した体術の殺陣が印象深いので、逆に剣殺陣がどういうものか?ということを見逃していたんですね。

 それで、今回、注目して見ていたら、流石、非常にシャープな太刀捌きで無住心剣・夕雲流(セキウンリュウ)を遣う法月玄之丞を演じていました。

 ちなみに、この『鳴門秘帖』は、鶴田浩二が演じた映画版とか、NHKの連続ドラマではマサカズ様が演じて、私が大好きだった小林麻美が出ていましたけどね。

 そのマサカズ様主演の『刀化粧』は、小池一夫先生の原作とはかなり違っていて、原作だと神夢想林崎流の開祖、林崎甚助重信が主人公なんですが、TV版では小野忠常(小野派一刀流の二代目)となっていて、しかも小野善鬼と神子上典膳が決闘して典膳が勝ち、伊藤一刀斎の道統を継いで善鬼の恨みをなだめるために小野姓を名乗った・・・という通説とは違って、善鬼が父親で、それを柳生宗冬(柳生十兵衛の弟)が討ち取って息子を育てた・・・という設定になっていて、しかも丸橋忠弥と同門の幼なじみだ・・・という、かなり錯綜した話になっています。

 まあ、原作と内容が全然違うのはどういう訳なのかは解りませんけれど、小池先生が設定を変更したのか、はたまた脚本家が考えたのかは判然としないものの、小野派一刀流の二代目宗家が柳生新陰流出身というのもおかしなものです。

 でも、改めて観察していて、やっぱりマサカズ様は殺陣はムチャクチャ上手いです。特に太刀行きの速度が優雅に流れるところから急にビュッと疾ったり、体の転換もキレ味があって、ちょっと驚かされました。

 特に御前試合のところで、夕雲流の針ケ谷夕雲と試合するところなんて、二刀流で柳生の木村助九郎(平泉成)を倒して、「当代一の遣い手とされる」とか強敵っぷりを解説しておいて打ち破るところがナイスでした。

 ただ、夕雲流って失伝してるから、どんな剣術なのか判らないから、つい二刀流にしてしまったんでしょうけどね〜。実際の夕雲流の剣技は片手八相に構えて、相手が打ち込む瞬間を読んで合わせ打ちにして勝っていたらしく、技といったらそれだけしかやらなかったということなんですが、それだけで三代目の真里谷円四郎は他流試合一千回全勝ってんだから嘘みたいな話です。

 まあ、マサカズ様が遣う剣とすれば夕雲流のほうが合いそうだし、実際、『鳴門秘帖』ではそうだったんだけど、考えてみたら、剣戟王と異名をとったバンツマの息子だから、殺陣が上手いのは当然かもね〜。


 え〜、それと、噂だけは聞いていた高倉健の初主演作『電光空手打ち』『流星空手打ち』が東映チャンネルでやっていたので、見逃さないようにビデオ録画して見ました。

 1956年の作品だそうですが、沖縄を舞台に、松濤館流の開祖、富名腰義珍をモデルにしたと思われる名腰義仙という空手家に挑戦して敗れ、弟子入り志願する青年を高倉健が演じていました。

 正直いって、今のカラテ・アクションのスピード感からすれば、実にマッタリとした空手アクションですが、空手版姿三四郎を目指したんだろうな〜という印象はあります。

 ちなみに高倉健は大学時代に合気道部だったという話を何かの本で読んだ記憶があるんですが、だからなのか、突き蹴りは下手ですが、捌くのが上手いですね(って、それじゃダメじゃん?)。

 で、一番、空手らしいのは、ヒロインが踊る琉球舞踊の中の手の動作だったりするところが、何か複雑な気持ちになりますね。

 やっぱり、東映の空手映画というと、千葉ちゃんのカァァ〜〜〜ッ!という息吹を聞かないと空手という感じがしないんですよね〜。

 それに、何だか、沖縄空手界の代表として東京に行くことになった名腰を妬んで挑戦状を送るとか闇討ちするとかいうところが、見ていて現実の武道・武術の世界と重なるもんだから、私は個人的にウ〜ンと思っちゃいましたね〜。

 やっぱり嫉妬心燃やして自己アピールしまくるのって、実に見苦しいもんですな。

 実際、武術って、人殺しを想定して技術が考えられている訳で、そんな強さをアピールしてどうすんの?って、普通の精神構造の人間だったら思う訳ですよ。

「この突きで人が倒れるか?」とか、「この一刀で人を切れるか?」ということを真剣に考える前に、「おいおい、人を殴って突き倒したら留置所に入らなきゃならんよ」とか、「人を切ったら死刑になっちゃうよ」とか考えないんでしょうかね?

 そこを考えている上で想定として追究していくものでなかったら、それこそ名腰義仙先生言うところの「キチガイに刃物を持たせるようなもの」です。

 だから、武術を学ぶってことはスポーツを練習してパフォーマンスが上がりさえすればいいというものじゃなくて、やっぱり人間の精神性と社会との適応というテーマと向き合って考えないといけませんね。

 私は、実戦とか強さという言葉が、物凄く安易に用いられていると思うんですよ。実戦といったら殺し合いですよ。素手で殴り合いして強いの弱いのなんか言ってるのが武術だとか言うのなら、あまりにもバカ過ぎます。

 人を殺そうと思ったら、素人だって包丁くらい用意するんです。筋者の方だったらハジキ(拳銃)くらい用意しますよ。実戦といったら、そういうことですよ。

 本当に、私は全然理解できないんですが、何で、素手で殴ったり首絞めたりする実戦しか考えない人が武術がどうこうとほざいてしまうんだろうか?ってことなんです。

 私、武術の基本は剣であり、現代では銃だと思ってますよ。そうした武器を使いこなせなくては全くの無意味だと思っています。生き死にがかかった時に素手で戦うこと考える人がどこにいますか?

 武器が持てない場所、あるいはたまたま持っていない時の最低限の武装として素手の体術があるだけだと思っています。

 普通に武道や格闘技をやってきている人は納得がいかないと思います。でも、逆に何もやっていない人のほうが賛成する率が高いでしょう。つまり、本質的考え方をできなくなってしまうんですよ。武道や格闘技に慣れ親しみ過ぎると・・・。

 実戦なんて、一生、やらないに越したことはありません。他人と技量を競うのならスポーツと割り切って切磋琢磨する気持ちでやるべきです。

 空手に先手無し・・・深い言葉ですね。一つの解釈だけでは成立しません。

 だけど、映画はエンターティンメントとして楽しむべきものです。その意味では説教臭い空手映画より、単純明快、襲いくる敵をドリャーッ!と殴り蹴り、ヌンチャクで打ちのめすのが正しいカラテ・アクションでありましょう。

「考えるな! 感じるんだぁ〜っ! アッチョォ〜〜〜!」

 ファミリー劇場では『Gメン75』の香港カラテ・シリーズ(視聴率上がったらしいよ)から、草野刑事(倉田先生!)が登場しない回の作品を放送していて、私は『HERO』も『只野仁』も観ずにワクワクして観ましたよ〜。

 Gメンの香港カラテ編と言えば、倉田先生とヤン・ツェーが闘うところしか記憶にない人も多いと思いますが、ブルース・リーのそっくりさんとして本家より先にでっちあげられたパチモン『新死亡遊戯』や、『ブルース・リーを探せ!』に主演していたホー・チョンドーと、『カンフーハッスル』で火雲邪神を演じたブルース・リャンが出ておりましたよ。

 ちなみにブルース・リャンのスキルの高さには唖然としますよ。流石にブルース・リー亡き香港カンフー映画界で最強と呼ばれた男です。ちなみに倉田先生の『闘え!ドラゴン』にゲストで出た時よりも、ややずん胴体型となり、後の頭部のハゲチョビン化を心配させるものがありましたが、ま〜、他人事じゃないからね〜。

 しかし、私も観た記憶がなかったのは、香港カラテ編で女ドラゴンが助っ人する回があったということでした。観逃してましたね〜。

 だけど、ビックラこいちゃったのは、江波杏子が喪服の黒い着物にドスを持って敵陣に独りで乗り込むという「アンタ、Gメンでしょ?」って、突然、『キイハンター』に戻ったようなムチャぶりな展開でした。

 でもって、ヌンチャクや柳葉刀、棍に仕込み杖持ったカンフー遣い達と闘うんですけど、もう江波杏子にかつての女任侠物をやらせたかっただけ?・・・みたいな監督の悪乗りっぷりがうかがえます。

 だけど、凄いのは、着物姿で後ろ回し蹴り繰り出す江波杏子(のスタントさん)ですよね〜。『子連れ狼・冥府魔道』で、若山先生がいきなりドロップキックかました時の衝撃
が蘇って、目がテンになりました。

 肝心の女ドラゴンはピャオ(中国式手裏剣)を遣う以外は、技は上手いんですけど、いかんせん、スピードがありません。アンジェラ・マオや志穂美悦子とまではいかずとも、もうちょっとスピーディーに突き蹴り出せればね〜。

 ファミリー劇場では、『闘え!ドラゴン』の香港上映のみの劇場版も放送していますが、これはTV放送されたものの再編集版ですね。

 しかし、改めて観てみると、倉田先生の突き蹴りのスピード、あり得ない角度でビュンッと風車のように繰り出される回し蹴りと、これはブルース・リャンに勝るとも劣らぬ見事なスキルで、しかも、ごく最近の作品でも衰えてませんからね〜。30年以上経過しているのにな〜。

 だけど、私が意外なのは、宣弘社の作品の常連(『シルバー仮面』『レッドバロン』)である玉川伊佐男が殺陣がかなり上手いことでしたね〜。

 味方と思っていたら、実は敵の組織の首領だった・・・という『快傑ズバット』みたいな展開でしたけど、『レッドバロン』の自転車刑事のイメージがあるから、結構、驚きます。

 まあ、倉田先生にはまだまだ頑張っていただきたいですね。『クローサー』なんて凄かったもん・・・(香港版キャッツアイなんだけど倉田先生が日本のヤクザの最強若頭なんだよね〜)。

 あっ、余談ですが、ファミリー劇場のウルトラ情報局にスペクトルマンの成川哲夫さんがゲストで出ていてウルトラマンレオにゲスト出演した時の思い出を語っていたんですけど、決してスペクトルマンの名前を言わなかったところが偉いと思いましたね。

 伊藤幸雄さんは、うっかりミドレンジャーって言っちゃってたから、事前に「スペクトルマンって言わないでくださいね」って釘刺されていたのかもしれないけど・・・。

 成川さんは玄制流空手道の師範なんですけど、全然、そういうところもひけらかさないですよね。本当に謙虚な人柄がうかがえます。

 ウルトラマンレオには、以前、ライオン丸の潮哲也さんもゲスト出演してましたけど、潮さんは『レッドバロン』の後半にレギュラー出演したり、『猿の軍団』にも主演していましたね。近年は『仮面天使ロゼッタ』でも父娘の変身ヒーロー物をやっていました(と言っても既に十年前か?)。




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