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君は『13階段のマキ』を知っているか?

・・・っつったって、そりゃあ、知ってる人はほとんどおらんよな~・・・。

 この作品は、女必殺拳シリーズで確固たる日本のアクション女優ぶっちぎりのナンバー1の地位をしめた志穂美悦子の伝説の一作です。

 でも、今となっては、「ナガブチの嫁」といわないと誰もわからないだろうな~?というくらい女優業から離れて久しいし、娘もデビューしたけどアクション女優として活躍しそうな気配は皆無だし・・・。

 志穂美悦子の活躍というと、『女必殺拳』『女必殺拳危機一発』『帰ってきた女必殺拳』『必殺女拳士』『女必殺五段拳』『華麗なる追跡』といった主演作や、『激突・殺人拳』『激殺・邪道拳』『激突・合気道』『ゴルゴ13・九竜の首』『忍者武芸帖・百地三太夫』『吠えろ鉄拳』『コータローまかりとおる』『柳生一族の陰謀』『宇宙からのメッセージ』『里見八犬伝』『二代目はクリスチャン』といった映画作品から、『キカイダー01』『大江戸捜査網』『ザ・ゴリラ7』『爆走・ドーベルマン刑事』『熱中時代』『柳生一族の陰謀』『柳生十兵衛あばれ旅』『影の軍団Ⅱ』『影の軍団Ⅲ』といったTVドラマや『欽どこ』のレギュラー、『ジャッカー電撃隊』のゲスト出演等々・・・非常に多岐にわたっています。

 そんな悦子の芸能生活の中でもファンですらも隠しておきたい汚点・・・それが『13階段のマキ』・・・の、より正確にいうと悦子自ら歌ったタイトル曲なのです・・・。

 いや、正直、私も劇場の椅子からコケそうになってしまいましたよ。

 はっきしいって、音痴! う~ん・・・『柳生十兵衛あばれ旅』の時はそんな酷くなかったから、この時に発奮してボイストレーニングとか励んだんでしょうね~。

 そんな伝説の『13階段のマキ』が、ついに東映チャンネルで放送されます。

 これはある意味で必見! まず、登場した瞬間、笑えます。なぜ? WHY?

 それは、悦子の着てるTシャツの胸にデカデカと「13」と書いてあるから・・・バカ過ぎる・・・これじゃコントだよ。

 一瞬、どういう映画なんだろうと思ったんですけど、普通に女必殺拳シリーズと変わりません。

・・・っていうか・・・女必殺拳シリーズも相当バカ度が高いんですよね~。「琉球拳法・湖城流」だとか「高砂流吹き矢」とか「アマゾネス7」とか、次々に頭のイカレたようなバカ武術家が登場してきて悦子を襲う訳(なんか『地上最強のヨメ』みたい)なんですけど、例によって、敵のナンバー2は、ことごとく石橋雅史先生なんですよね。

 確かに師匠の千葉ちゃんのカラテ映画も相当なバカ度でしたけど、悦子主演作のほうがバカ度が高いような気がするんスけど・・・気のせい?

 そういえば、もうやめた会員が、以前、「先生、『風のファイター』(大山倍達先生の韓国版自伝映画)は最高ですよ~」というので見たら、千葉ちゃん主演のマス大山映画『喧嘩カラテ極真拳』『極真無頼拳』『空手バカ一代』と見比べたら、ぬる過ぎて、「こんなのより千葉ちゃん主演作の方がずっと面白いよ」といって見せたら、「うわっ、ホントっすね~」といってましたっけ。

 だってね~。千葉ちゃん演じるマス大山がヤクザを殴り殺しちゃって、空手をやめて遺族に償いをしようとしていたかと思ったら、クライマックスでは群がる敵を何のためらいもなく撲殺していくんですから、「何だったんだ、アレは~?」と思いましたよ。

 そんな東映伝統のカラテ馬鹿映画群には、最近の洗練され過ぎてぬるくなってる武術映画にはないデタラメなパワーが漲っています。

 今、こういうデタラメなパワー映画が撮れるのは、三池監督と北村監督くらいかな~?

 とにかく理屈抜きに「なんじゃ~こりゃあ~?」と思わせてくれるような映画が見たいですよね。

 な~んか、洗練された高尚な映画を撮ればいいと思い過ぎてるんじゃないスかね~。そんな眠くなる映画より、理屈抜きに楽しくなれる作品を撮って欲しいですね~。

 時代劇なんかも、別に高尚に撮ったっていいですよ。でも、殺陣だけは、頼むから手抜きしないでくれぇ~! 淡々と進んでいても、殺陣が凄かったら、それだけで名作になりますよ。理屈じゃないんです。

 逆に、どんな名作でも殺陣がダメだったら、ガクーンと印象が悪くなります。例えば、映画版の『蝉しぐれ』・・・御前試合のシーンとクライマッマスの一騎打ち対決のシーンの、あの不条理極まりない“能”から採ったという殺陣・・・あんなキテレツな演出は絶対にやっちゃダメ! 堂々と剣技を戦わせて決着をつけなくちゃダメ! あんな奇をてらった演出は単なる逃げです。あれでは、その後の変位抜刀霞斬り?も活きないですよ。

『隠し剣・鬼の爪』も、田中泯さん演じる剣の師匠が秘太刀を教えるシーンは最高だったのに、肝心のクライマックスの対決は、もう素人が刀持ってジャレてるみたいで全然ダメでした。小澤征悦は一刀流の遣い手という設定なのに、丸っきりそう見えない。

 ああいうのがリアルなんだといわれるなら、絶対に違うと私は断言しますよ。長年修行していれば、その動きは身体に染み込んでいて形状記憶合金みたいに剣持った途端にビシーンと姿勢が決まって眼光に力が漲るものです。

 そういうのは演技力だけではどうにもなりません。身体と精神が一致して出てくるものだから、訓練していない人間にはできないんです。『たそがれ清兵衛』の時は真田広之という当代随一の殺陣の名手と、田中泯という世界に名だたる舞踊の名手だったから、あの荘厳なまでの対決シーンができたんです。

 NHK大河ドラマ・アーカイブスで柳生宗矩の一生を描いた『春の坂道』の最終回を見ましたが、余命いくばくもない宗矩が明国出兵しようとしている徳川家光を諌めるのに無刀取りをやってみせるんですが、実際に居合道も修行していたヨロキンの鬼気迫る殺陣と相俟って、非常に素晴らしいシーンになっていました。

 この作品は江戸柳生流を継承する大坪指方師範が武芸考証されていたから、頭上で拝み取りにする真剣白刃取りではなくて、斬り込みを躱して峯側から刀身を挟み取っていましたが、合理性に則った技と死を覚悟して教え諭そうとする宗矩の姿が感動的でした。

 また、国広富之が主演した『新吾十番勝負』1~3でライバルを演じた新国劇の大山克巳の殺陣の見事なことといったら、ため息が出ます。実際に神影流や鹿島神流も学ばれたと本で読んだ記憶がありますが、剣の振り一つが芸術ですよ。この人の場合、眼神が尋常じゃないですね。まるで大山倍達みたい。

 その他では、『ザ・ヤクザ』の時の高倉健も素晴らしかった。元ヤクザの剣道師範でロバート・ミッチャムと一緒に敵のヤクザの組に殴り込むんですけど、これが見てるこっちまで油汗が流れてきそうなくらい緊迫感に満ちていて、日本刀の殺陣シーンの中でも最もリアルな作品の一つだと思います。

 ともかく、志穂美悦子の女ドラゴン全盛期の作品群、この機会に未見の人はご覧になってはいかが?
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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