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四月セミナー報告

 四月のセミナーは、“スリ足のステップワーク”と題して、歩法から一歩進んだ戦術的な歩法の用い方について解説指導していきました。

 も出たばっかりだったからか、今回は人数も多くて会場が手狭な印象もありましたし、おまけに動き回るので余計に狭く感じられたんですけれど、まあ、何とかなりました。

 一口に歩法、ステップワークと言えば、大抵は、「どうやって間合を詰めるか?」といった観点に落ち着く場合が多いと思うんですけれど、実は武術が歩法を重視する理由は、そこに積極的な裏技が隠されているからなんですね。

 簡単に言えば、「自分は自由に動いて相手は居着かせてしまう」という戦術的な使い方が隠されている訳です。

 どういう意味かいな?と思うでしょうね。不思議な神秘の秘術とかあるのかな?って。

 違います。

 そんな意味不明なことではありません。もっと具体的なこと。

 それは・・・“相手の脚(膝)、足(甲や指)を踏む”“相手の脚に自分の足を搦める”といった姑息な技を歩法の最中に駆使することです。

 こういう技は中国武術では“暗腿”と呼ばれます。八卦掌がよく駆使することで有名ですが、無論、他の門派でも普通にあります。

 例えば、八極拳の頂心肘の技の時にカカトをズシンと踏み込む震脚の動作や足先の角度は、相手の足を踏みつけたり脚に引っかけて逃げられなくしたりする技を成功させるための招法が内蔵されています。

 つまり、その招法の意味を知らないまま形ばかり真似して技を極めようとしても、間合が遠くて届かないとか、相手が素早く避けて当たらない・・・といったことになってしまう訳です。

 こうした技は、裏技として隠されていたので知らない人が多く、たとえ知っていても人には教えない・・・という場合も多いようです。

 私は運よく多少、習う機会があって、それを形の分析をしている時に色々と試しているうちに自然にあれこれ使うようになり、そこからさらに歩法と結び付けて使う研究をしていった次第です。

 端的に言えば、こういった暗腿の技は何も中国武術にしかないのではなく、日本の古武術にも沖縄空手にも東南アジアの武術なんかにもあります。

 それは、暗腿の技を知っていれば、単に構えを見ただけで、隠されている用法が洞察できてくるんですよ。

 養神館の塩田剛三先生も足の親指の先で相手の足甲を踏んで釘を刺したみたいに痛がらせてフッフッフ・・・ってしていましたよね。あれも踏む位置と足指に重心を沈めるコツとかを体得していれば誰でも可能です。

 チャウ・シンチーは、『カンフーハッスル』の中で敵の足をバンバン踏んずけるシーンを撮っていましたが、震脚の用法にそういうものがあるというのを知っていたのかもしれません。

 今回のセミナーでは歩法の延長だと皆さん思っていたようなので、歩法に隠された陰険な技の数々に面食らった人もいたみたいです。

 特に、膝を踏みつけて折る斧刃脚から、そのまま滑り込ませて暗腿を仕掛ける連続技は、出した手足を引き戻すことに慣れている空手出身の人には難しいかもしれません。

 でも、護身術とか実戦的な使い勝手のいい技というのは、こういう狡猾な技なんですよね。戦ってる最中にちょこちょこっとやられると、何をされたか気づかない・・・そういう技のほうが実用的ですし、本来の空手の型を分析していると、どう考えても引き戻さないで連続させているとしか考えられない技の動作が少なくないんですよ。

 突き蹴りだけで仕留めると考えるから戦闘法が変化し、本来の用法が不明になっていったんだろうと思いますし、逆に現在の空手道の戦闘法からは型の解釈が不可解になりがちなんじゃないでしょうか?

 また、使えるかどうかを試合でしか判断しようとしないでしょう?

 こういう陰険な技は試合で使うのははばかられますから、どの道、禁じ手になっていくしかなく、そうなると存在そのものが忘れられてしまう。

 でも、指導していく立場の人は知っておいたほうがいいと思うんですよ。本来の武術の戦闘法なり理論なりという点をきちんと理解していれば、本質を踏み外さないで済む。

 私は、そのための研究をしていこうと思っている訳で、何か特定の流派の伝統を守っていかねばならない立場じゃないので、基本的にフリーでやれますからね。

 伝統的な武術の流派というのは秘伝が多すぎて制約され過ぎています。私もその立場に留まっていたら何も発表できなかったですよ。

 でも、誤解して欲しくないのは、伝統的な武術の流派は文化として保存継承されるべき価値もある訳で、私はその点を否定しないし尊重すべきことだと思っています。

 要は、人間は己の目的を純粋に求めていくことがカッチョイイんだよぉ~って言いたいんですよね。

 武術の世界は不純なヤツが多過ぎますよ。ホント・・・。


 ところで、75歳の爺さんが口論の末、65歳の爺さんを日本刀でぶっ刺した・・・という事件があったそうですが・・・もう、いい年こいて何を考えてんでしょうね~。

 どうせなら、相手にも日本刀持たせて、二人で斬り合えば「う~ん、サムライだな~」なんて、ちょびっとは感心したんスけど・・・(エッ、しない? 俺だけ?)。

 何か、『コンバットマガジン』で甲野氏が「最近は刃物を遠ざけるばかりで教育しないからいかん」とか書いていたんですけど、いい年こいた爺さんでも阿呆は阿呆なんだし、それよりも何よりも、「高校の講演会で高校生の首根っこ掴んで日本刀の切っ先突き付けて恫喝したお前に言う資格あるんかい?」と、私は言いたい!

 それに、訪ねていった格闘家に無言で日本刀抜いて突き付けてイヒヒッて笑ったとか、公開稽古会で合気道習ってる女の子に日本刀突き付けて怖がらせて、「やめてくださ~い」と逃げるのを追いかけ回したという目撃談も聞いたんスけど・・・気は確かですか?

 私も真剣たくさん所持している人間として人様から誤解を受けたり恐怖心を感じさせたりしないように心掛けなくちゃいけないな~と思いましたよ。シャレで済まないことってありますからね。

 武術は自己抑制の心掛けがないと簡単に暴力になってしまいます。何も考えずに強さを求めるのは自滅の道だと認識しておかないといけません。

 秘伝をバンバン公開している私が言うのも矛盾してるんスけど、せめて、心掛けの重要性だけは強調しておかないといけないと思っています。

 来月は、いよいよ“脱力技法”です。合気ですよ。化勁ですよ。武術の神秘を合理的に解説指導していきますから、乞、御期待!

追伸;近々、游心流では狭いながらも宿泊施設付きの本部道場(要するに民家です)を借りる算段をしております。これで、365日24時間、フルタイムで練習できることになります(無論、完全予約制)。これまで日時が合わずに来れなかった方、足が遠のいていた会員の方、地方在住の方もドシドシおいでください。指導内容や料金などは、場所が確保でき次第、発表しますので、もうしばらくお待ちください。また、本部道場開設の時は祝賀披露演武なんかもやってみようかな?と思っております。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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