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君は『拳児』を読んだか?

 4月のセミナーの時に、会員さんから松田隆智先生原作の漫画『拳児』がコンビニ向け版で出たと聞いて、近所のセブンイレブンで買ってきました。

 私はもちろん、既に文庫版で全部読んでいるんですが、今回は松田隆智先生のインタビュー記事も掲載されているので、また買ってみた訳です。

 私が松田先生を一番尊敬できる点として、「自分の名声を利用して金儲けや組織作りに奔走しなかった」という点が挙げられます。

 つまり、自身の修行を最優先してきた・・・ということです。

 私だったら、ここぞとばかりに銭儲けに奔走しまくりますけどね。先日もクエストさんで打ち合わせしている時に、社長さんから、「長野さんは今後の展開はどう考えているんですか?」と聞かれて、「いや~、稼げるうちに稼いどかないと、僕は老後の生活もできなくなりますからね~。注目されてるうちにバンバン仕事しますよぉ~」と答えたら苦笑されてました・・・。

 文字通りの清貧を実践している松田先生は本当に偉いな~と思う訳ですよ。

 しかし、今回のコンビニ版の松田先生のインタビュー記事には、少し違和感がありましたね。

 まず、松田先生は活字に載る時は自身を“僕”と書かれていました。雑誌に載せるインタビュー記事でも「僕と書いてくれ」と言われていました。

 もちろん、しゃべっている時は気楽に「俺は・・・だよ」と話されることが多かったですよ。でも、それをそのまま記事にしないようにと注意されていました。

 つまり、文章から受けるイメージが尊大になったりしないように慎重な表現を心掛ける方だったのです。

 でも、今回は“俺”・・・そして、“本作の原作者である、松田氏は知る人ぞ、知る!武術の達人。そんな格闘技の神様が語る、伝説の格闘家たちとの交遊録は、まさに生ける格闘伝説なのだ”という惹句(コピー)があります・・・。

 これは、恐らく、私が思うに松田先生に取材した後、きちんと原稿のチェックを受けないまま載せているんだと思います。

 何故なら、松田先生は、こんな大袈裟な書き方をされるのを非常に嫌う方だからです。

・・・武術関係者がメディアで紹介される場合、大抵は“達人”とか書かれます。もう決まり文句ですよね。

 そして、武道家、武術家、あるいは格闘家と紹介されたりします。

 無論、よく知らないから、こういう安易な紹介の仕方をしてしまうんだと思いますし、紹介される側も面倒臭いから否定しないでいる場合が多いと思うんですけれど、やっぱり、こういう言葉は注意深く用いられるべきだと思うんですよ。

 例えば、私は武道家でも武術家でもなく、武術研究家です。“武術”という身体文化を総合的に研究していく志しをたてているから、“武術研究家”と名乗っている訳です。

 正直言って、私より強い人はいくらでもいます。だから、武道家・武術家・格闘家とは恐れ多くて、とても名乗れない。

(名乗っている人達がそれに相応しい場合はほとんどないと思っていますけれど・・・)

 けれども、“武術”という分野を私ほど幅広く研究している人は皆無に近いだろうと思っています。何故なら、武術を学問だと考えて追究する人は滅多にいないからですし、いたとしても、実践を通じて確かめていこうとはしていないでしょう。

 文武両道の人というのは現実にはほとんどいないものですよ。私も元来、武をやるタイプじゃありませんからね。身体弱いし、競い合うことに喜びを感じるスポーツマン的な感性が全然ない。

 でも、それがないから良かったんだと思ってます。

 歴史上、一般的に認められた武術文化の総合研究者というのは一人もいない訳です。だから、私はその第一号になってやろうと思っているんです。ついでに70歳くらいで超達人になれていたらいいな~?という願望はありますが、それをメインで追求している訳ではありません。

 松田先生の場合も、恐らく、個人的な自己満足を得るために空手・古武術・中国武術を学んでこられただけで、他人の評価は求めていなかったんじゃないかな~?と思うのですね。

 だから、“格闘技の神様”みたいに書かれることを喜ばれるとは思えないですね。

 いや、そもそも武術と格闘技を同列で語ろうとするのが無理がある訳で、このインタビュー記事には、ちょっと苦笑されているんじゃないでしょうか?


 さて、それはそれとして、このブログを読まれている人の中には『拳児』を知らない人も少なくないだろうと思います。

 そういう人は是非とも読んでもらいたいと思います。

 何よりも、ここまで中国武術の技をきちんと考証して解説した漫画は無かったからですし、実際に教本としても利用できるのです。

 八極拳・形意拳・大東流合気武術・八卦掌・陳家太極拳・心意六合拳・・・といった武術の描写が正確で、特に神槍李こと李書文について描かれた箇所は独立した武侠小説のような面白さがあります。

 私も久しぶりに読んでみて、以前は気づかなかった技の要点を改めて知ったりすることができました。

 そして、この漫画は是非、アニメ化、あるいは実写ドラマ化すべきものだな~と、あらためて思いました。

 昔、聞いた話では、実はNHKでドラマ化する企画もあったそうでしたが、中国ロケもしなくてはならないから断念され、代わりに夢枕貘の『ビジネスマン空手道』がドラマ化された?のだとか・・・。

 実写が難しければ、アニメでどうかな~?と思いますけどね。

 ともかく、必読です!


 え~、それと、5月の東映チャンネルで、DVDにもなっていない幻の作品『子連れ殺人拳』と、冒頭の植芝吉祥丸の演武以外に合気道らしさが微塵もない!という奇跡のような物凄い迷作『激突!合気道』も放送されます!

 他にも、千葉ちゃんの殺人拳シリーズやマス大山シリーズ、地獄拳シリーズ、少林寺拳法も放送され、千葉ちゃんのカラテ映画のほとんどが放送されます。(これに『ボディガード牙』シリーズと『激殺!邪道拳』と『ゴルゴ13九竜の首』と『ドーベルマン刑事』と『燃えろ狼男』が入ると完璧かな? えっ? ゴルゴとドーベルマンとウルフガイはカラテ映画じゃないだろ?って思いますか・・・見てくださいよ。実際、カラテ映画だから・・・)

 でも、必見なのは、やはり『激突!合気道』でしょう。「相手の力にぶつからないのが合気道」の筈なのに、堂々と題名が裏切っちゃってま~す。

 しかも、千葉ちゃんの弟、二朗さんが主演なのに、ゲストで出演している空手家役の千葉ちゃんにボコボコにされて、何だかいつもの千葉ちゃん主演の作品のような錯覚に陥るダメッぷりに、ダメ押しで悦子が蹴りを放ちます(注・合気道に蹴り技はございませぬぅ~)。

 そんな『激突!合気道』・・・見る人が見れば、「おやっ? これは『少林寺拳法』の続編かな?」と思える怪作です。こいつぁ~、見なきゃいかんばい!

追伸;う~む・・・『激突!合気道』に協力した合気会は、まさか、こんな映画になるとは夢にも思わなかっただろうな~・・・。結局、合気道の技を効果的に映画で見せたのはスチーブン・セガールだけってのがね~。韓国合気道(ハッキドー)ならいくつもあるんだけど・・・。


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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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