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芸道殺陣・波濤流 高瀬道場技芸会

 ビーバップやあぶ刑事、特撮物では、渋いローキック合戦が格闘マニア間で噂になった『七星闘神ガイファード』が有名で、ここ最近は殺陣教室が度々、TVで採り上げられている“芸道殺陣波濤流”高瀬道場を主宰されている高瀬将嗣先生から、先頃開催された技芸会の様子を記録したDVDをお贈りいただきました。

 以前、本をお贈りしたことがありましたので、その返礼とのことのようですが、いや~、物凄く嬉しいですね~。

 招待状を頂戴したものの、私、仕事で行けなかったものですから、思いもかけず見ることができて、何て幸せ者なのか?と・・・。

 正直言って、私、武術より殺陣アクションの方が好きなんですよね。運動神経良かったら、絶対、JACかKACか目指してたよ。マジで・・・。

 しかし、私は走るのはビックリするほど遅いし、体育は五段階評価でほとんど2、高校の時は1取ったことあるよ。

 球技とかの集団でやるのになると運動音痴っぷりも全開で、中学時代のイジメの原因の一つもコレだからね。

 中学時代に自転車乗ってたのを見た同級生の女の子が、凄いビックリした顔して「長野君、自転車乗れるんだぁ~!?」と言ってました・・・。そのくらい運動は全然ダメなヤツだった訳です。

 だから、スポーツは、やるのも嫌いだけど見るのも好きじゃないんですよね。

 じゃあ、何で武術武道は好きなのか?

 これはね~、やってみると意外と強かったからなんですね。自分でも不思議・・・。

 そのまま長く続けてきて確信が持てたのは、武術に関しては運動神経とか体力とかは関係ないということ(武道は多少関係あるけど・・・)。

 今でも運動神経はからっきし自信ないです。いやもう、トラウマですよ。でも、武術だけ上達できたら他のことは人並み以下で全然構わない・・・と、悟りの境地に至っておりまする・・・。

 だけど、アクションに関しては、やっぱり、今でも未練がありますね~。器械体操とかやっていたら少しは運動神経良くなっていたかもしれないな~とか思う。

 でも、アクションは運動神経が良くないとダメだと思いますよ。秋本つばささんの忘年会に呼んでいただいた時に、つばさプロジェクトの皆さんがいろんな競技のトップ水準の人ばっかりだと知って、内心、劣等感でドヨ~ンとしましたもん。

 ダンス白州に初めて呼ばれて行った時も、ものすっごく身体が動く妖怪人間みたいな人達を見て、ドヨヨ~ンとしましたね~。

 あ~、俺って、何てダメダメなんだぁ~って、月に咆えたくなりました・・・。

 体力もスタミナも反射神経も人並み以上に良くないとダメだな~と思います。だから、アクションは諦めて、小技と戦術で勝負する武術を鬼のように研究してきた訳なんですけどね~。ヨボヨボの爺さんになって、いざ勝負ってなった時、0.2秒だけ超高速で動く・・・というのが目標です!

 よく、武道や武術やっている人達って、殺陣やアクションを馬鹿にしたようなことを言いますけど、アレはきっと、コンプレックスがあるんだと思います。

 だけど、人間、コンプレックスがあるから、頑張れるんだと思いますけどね~。


 おっと・・・また、余談で進んでしまいました。ごめんなさい・・・。

 で、お贈りいただいたDVDを拝見しました。

 ムムム・・・素晴らしい・・・。

 殺陣の教室に通う生徒さんたちの演技も、実に基本が活きています。殺陣には様々なお約束がありますが、その基本は侍の作法です。

 そして、侍の作法を伝えているのは、古流武術、能、日本舞踊等の限られたものしかありません。

 しかし、多くの人が見逃しているのは、例えば居合道を学んでも侍の作法そのものは学べないということ・・・。

 どういう意味かと言いますと、現代の居合道は正座で大刀を一本だけ帯に差して実技をおこないますが、これは稽古の方便であって、本来の侍の作法とは違いますよね。

 座り技なら脇差を遣う筈だし、大刀を用いるなら立ち姿勢での居合術でなければおかしい。しかも、脇差と二本差しの筈・・・といったことを考えていくと、古流武術に侍の作法をそのまま期待するのは無理があります。

 そうなると、日本舞踊の剣舞の方がより原型に近いかも知れません。

 しかし、舞踊の研究者によれば日本舞踊も明治以降にかなり変わってしまっているのだとか?

 しからば、能はどうか? うん、これが一番、原型に近いかも?

 でも、能の場合も芸能游芸としての嗜みであって、日常生活の侍の作法そのままだったか?というのは、ちょっと疑問が残りますね。

・・・とまあ、真面目で熱心な殺陣の指導者は、物凄く膨大な研究をしなければいけなくなっていくのです。

 武術家でそこまでやる人はほとんどいないと思います。知識自慢している人が、意外と阿呆だった・・・なんてことばっかり。武芸考証家だった名和弓雄氏とか、ごくごく限定されていたのではないでしょうか? でも、名和氏没後に武芸考証家という肩書の人はいないような・・・。

 ちなみに、町人の所作に関しては歌舞伎がありますが、この歌舞伎というものは、傾奇者(かぶきもの)を語源とするだけあって、要するに現代で言えば“コスプレイヤー”みたいなものなので、あれが町人の一般的な姿だったと考えるのもおかしい。

 甲野氏のヘンテコなナンバ論が受け入れられて無批判に広まったのも、このような事情を誰もはっきり判っていない現状があったからと私は思います。

 いや、そんな中で、高瀬先生は実に柔軟に本質を掴んで指導されてこられたんだな~と、感銘を受けました。

 殺陣に必要なのは、ケレンです! 単にガチガチのリアルな技を見せるのは面白くも何ともありません。

 少なくとも日本で、プロの武道家、武術家がゲスト出演してうまくいくことはほとんど無いと言ってしまっても構わないでしょう。

 要は、型にはまり過ぎていて形ばかり見せようとするので、効果的な迫力のある見せ方に対しての理解がないのが問題だと思うのです。

 そして、効果的に見せるのは、「受け手のリアクションの要素が大きい」と、アクション女優の秋本つばささんは言っていました。

 武道・武術をやっている者はリアクションを大袈裟にとるのを非常に嫌います。嘘臭く思えてしまうからです。が、これは“演技”というものが欠如しているからです。

 かの有名なキラレ役、福本清三さんは、スバッと斬られると思いっきりエビ反ってウギャーッ!と、断末魔の顔を二秒間は維持してからバッタリと倒れます。もう、名人芸です。

 高瀬道場のお家芸とも言えるのが、このリアクションを現役のアクション俳優の皆さんが生徒の技に合わせて演技してくれるのです! これで三倍くらい上手く見えます。

 全日本古武道演武大会も、こんな具合にやればいいのにな~と思うのは私だけかと思いますが、ぶっちゃけ、型の演武なんざぁ~、はっきり言って殺陣と同じなんだから、中国みたいに割り切って派手に演出して見せる方がいいと思うんですよ。

 い~え、正直言って、殺陣の方がずっといいと思います。

 だって、スピーディだし面白いし迫力もあるし、やってる者も気持ちよく、見てる者も気持ちいいでしょ? 武術の型は稽古の方便としてできたものですが、それを人様に見せるからには、“武芸”としての工夫をするのは礼儀だと私は思う。

 教室の発表の後、本部の芝居『新選組と岡田以蔵』『西遊記』のパロディ劇がありましたが、これがまた、イチイチ、シャレが効いてていいんですわ~。

 また、高瀬先生自ら刀の刀法の実際と殺陣の見せ方について実演解説されたところが、もう、若山先生や大山先生を思い出して感涙しましたね・・・。

「俺は居合道何段だ」とか威張ってる連中に見せたかったですね~。

 剣の構え方とか帯刀の仕方とか、私も知らなかった細かい意味を話されていて、その何分間かの間に、高瀬先生がどれだけ勉強されてこられたのか?ということが想像されて頭が下がりました。

『映画秘宝』の連載を読んでいて、相当、いろんな本を読まれているな~?とは思っていたんですが、改めて・・・。


 それと、今回、はっきり得心がいったのは、「武術の稽古は殺陣に学んだ方が確実に伸びる」ということでした。

 何故なら、空手の突き蹴り、柔道の投げ固め受け身、合気道の体捌きと受け身と無刀捕り、少林寺拳法の剛法と柔法、居合道の抜き納め、試斬の刀法、剣道の間詰もり、棒術、十手術、小太刀術、ヌンチャク、釵、トンファー、槍、薙刀、二刀流・・・等々、ありとあらゆる武術技法が殺陣には入っているんですよ。

 これを一つずつ体得しようと思ったら、いくつの武道道場に通わなきゃならないか?

 しかも、武道って、地味な練習、痛い練習、怖い練習・・・ばっかりでしょ? マゾじゃないと長く続かないっスよ。

 私が自分で流派作ったのも、あの武道・武術の道場に特有の空気感というのが苦手だったからなんですね。

 キリッとした礼儀とかは無いとダメだと思うんですけど、軍隊みたいになっちゃマズイでしょう? 厳しいだけじゃダメ! 武張った雰囲気って私は好きじゃないし、そんな態度取ってる人が本当に実力があるとは限らないですよ。

 以前、付き合いのあった職業武術家と喫茶店に入った時、ウエイトレスの対応が悪いとヤクザみたいに睨みつけちゃったりして、私は本当に一緒にいるのが嫌でした。

 その後、ケンカ別れしましたが、本当に二度と会いたくないですよ。あの性格は一生、直らないだろうな~と思うからです。

 たかが人を殴ったり蹴ったりするのが少し上手いくらいで、何を勘違いして偉そうにしなきゃならんのか? 器の小ささを強調しているみたいで嫌ですね。

 よく、いるじゃないですか? 女性と飲食店入って、些細なことでイチャモンつけてるバカ。カッコイイと思ってんのかね? だいたい、女性は困った顔してうつむいてる。

 見苦しいでしょ? 私は、こういう男が、一番、嫌い!


 高瀬先生は、以前、『デビルマン』の公開後に酷い中傷を浴びせかけられていた那須監督が急逝された時、連載記事中で那須監督を擁護して書かれておられました。

 那須監督を誹謗中傷する文章が多数載っていた『映画秘宝』の中で、ほとんど唯一、擁護しておられ、男気のある方だな~と思っていました。

 私も『デビルマン』の出来は悪かったと思っています。しかし、後から、うちのセミナーの常連であるシナリオライターの方から裏話を聞いたのですが、あの作品は東映内部の軋轢が凄くて、誰が監督しても出来の良いものにはなりようがなかったのだそうで、「那須監督が気の毒ですよ」と話されていました。

 億の金が動き、実に多くの人が関わる映画というものを、監督一人の裁量だけでどうこうできるものではない・・・という事実は、プロならば誰もが弁えていることでしょう。

 それなのに、「那須監督は死んでくれ」みたいな、冗談にしても低劣な罵詈雑言を投げかけまくった『映画秘宝』のスタッフ、ライターの皆さんは、恐らく、「しまった」と思われたことでしょう。

 私も毒舌物書きを芸風にしているから、察しがつくような気がします。罵詈雑言のムチャクチャさがウリですからね。私もそこが楽しくて購読しているんですが、あの時は後味が悪かったですよ。

 まさか、那須監督が、あのような形で急逝されるとは誰も予想できなかったに違いありません。

 高瀬先生はもう、反論のできない盟友のために、敢えて口を開かれたのだと思いますし、また、熱情籠もった思い出を高瀬先生が書かれたことで、『映画秘宝』のスタッフ、ライターの皆さん方も救われた気持ちだったんじゃないでしょうか?


 高瀬先生とは、癌で亡くなられた武友のMさんの御紹介で技芸会にお邪魔して、お会いしたのが最初でしたが、Mさんの作ってくれた縁に心から感謝しています。

 まあ、ちょっと、湿っぽくなっちゃいまして、ごめんなさい。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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