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最近見た幻想映画について

 いわゆるファンタジー映画と言うと、『ロード・オブ・ザ・リング』とか『ネバー・エンディング・ストーリー』とかになると思うんですが、もう少し現実的な中で幻想的な違和感を感じるような作品が私は結構、好きです。

 最近、CSでそういう作品が続けて放送されていました。

 一つは、日本に返還される直前の沖縄を描いた幻想作品『ウンタマギルー』。もう沖縄の方言が外国語みたいでよく判らないもんだから、字幕がついているという時点で、何やらヘンな感じです。

 ウンタマというのは運玉と書いて、ガジュマルに住むという樹木の妖怪キジムナーが住む怪しい森の名前。ギルーというのはサトウキビを搾る仕事をやっている青年、島尻ギルー(小林薫)。

 このギルーはキジムナーと仲が良いんですが、盲目の西原親方(仕事の元締めで地域の顔役みたい)が大事にしているマレーという女(実は豚の化身マジムン。青山知可子)に手を出したことから命を失いかかります。

 しかし、キジムナーの子供が溺れているところを助けてやった恩返しにキジムナーから額に魔法の石を埋め込まれて空中浮遊(レビテーション)や物質移動(アポート)といった超能力が使えるようになり、それを使って義賊ウンタマギルーとなり、琉球の独立運動をしているゲリラを助けたり貧乏人に金を与えたりして、ヒーロー視されるようになります。

 もっとも、作中でウンタマギルーが活躍しているシーンはほとんど描かれていません。西原親方の秘蔵の酒を盗もうとしたり、芝居に特別出演して空中に浮いて見せる程度なのです。

 しかも、挑発されて怒った西原親方が投げた槍が頭を貫通して生死不明のまま去っていきます(その頭に槍が刺さったまま海岸をフラフラと歩いているシーンから映画が始まるという、何とも妙な作品なのです)。

 実は西原親方はニライカナイからやってくる神の指令でマレーを養っており、怒った神様は西原親方をヤンバルクイナに変えてしまった・・・という話。

 そして、ギルーの妹チルー(戸川純)は想像妊娠し、ギルーそっくりの青年がギルーの代わりに仕事しキジムナーと言葉を交わし、新しくやってきた親方は、沖縄が日本に返還されたことを告げて、唐突にマレーと共にダイナマイトで自爆して果てます・・・。

 何とも意味不明な作品なんですが、要は、古いアニミズム的伝統を持っていた沖縄が日本に返還されて変わっていくことを象徴していたのでしょう。

 文章で書くと妖怪や神様も出てくる何とも怪異な作品に思えるでしょうけれど、キジムナーもニライカナイの神様も普通のオジサンが演じていて、少しも怪異な感じがしないんですね。

 まあ、演劇的なものと思えばいいでしょう。それでも、私がこの作品の一番の見所としてお薦めするのは、キジムナーがギルーにすすめられて“空手踊り”を披露するところです。

 これは、琉球古武術の二丁振り鎌の術なんですが、ヌンチャクのようにビュンビュン振られる鎌が本物であることを示すように、途中で木を切ってみせたり、凄いのです。

 蹴り足の鋭くビュッと上がる様子を見ても、凄い実力です。この人は一体、誰?


 もう一つの作品は、ダークなアート系人形アニメ作家として有名なヤン・シュヴァンクマイエルが監督した『オテサーネク妄想の子供』。

 これはダークなピノキオと言うべき作品で、子供のできない夫婦が樹の切り株を赤ん坊にみたてていたら、本当に生命が宿って猫でも人間でも食べてしまう怪物になってしまうという話なんですが、ちょっと、楳図先生のモクメ君を思い出してしまいました。

 オテサーネクというのは民話に出てくる樹木の怪物の話(本当にある民話なのか?)で、その絵本を読んでいたアパートの住人の娘(ちっとも可愛くない)が、地下室に隠した子供?をこっそり育てて変態爺さんを食べさせてしまったりするのです。

 シュヴァンクマイエルという人は実際にも相当な変人なんだろうな~?と思わせる意味のない幻覚シーンや、やたらに変態的なカットがあったりして、作品としては妙に纏まりがないのですが、そもそも人形アニメ作家が長編ドラマを撮れるというところが意外でしたよ。

 しかも、CGなど使わずギニョールや人形アニメで表現するローテク特撮手法が70年代特撮物で育った私にとっては懐かしい感じがします。

 このオテサーネクを植物怪獣とすれば、グリーンモンスやワイアール星人の等身大の時を思い出させます。

 しかし、3m以上はあるだろう怪物に育ったオテサーネクを退治するのがアパートの管理人のバアサンで、武器が古びた鍬であるというところは、映像では見せていないものの何か釈然としませんけどね。あのまま巨大化したオテサーネクが町を破壊して回る大怪獣映画にしても面白かったかも?


 もう一本は『パンズ・ラビリンス』。美少女が実は異世界の王女だった?という話がドイツ軍と反乱ゲリラの紛争という現実と交錯して描かれるのですが、少女は義理の親父の冷酷な大尉から最後は射殺され、すべてはこの少女の妄想でしかなかったかのように描かれます。

 要するに、ダークな『フランダースの犬』状態なんですね。

 登場する妖精や牧神パンも、何か邪悪な感じがしますし、日本妖怪“手の目”にそっくりの化け物も登場します。

 結局、少女の現実逃避の空想に過ぎなかったような感じですが、メイドになって潜入していたゲリラの娘が活躍して冷酷義父(本当に酷いヤツ)をナイフで刻んで逃げたりして、何とか少女を救出しようとするところが、こちらを主人公にして描いたらどうなったのかな~?という想像もしました。

 私が個人的にムムッと注目したのは、ドイツ軍だからこの義父がルガーP08を持っていたところですね。最初はワルサーP38かな?と思ったんですが、よく見るとルガーでした。無論、ライフルはモーゼル98kで、サブマシンガンはシュマイザーMP38ですよ。

 こいつは捕まえた人間がゲリラかどうかも判らないのに、ルガーのグリップで執拗にガンガン顔面を殴って顔面の骨が陥没骨折した青年の親父が「人殺し~っ!」と激怒して絶叫するや、ルガーでガ~ンッ!と無造作に射殺してしまうのです。

 そして、「森でウサギとってただけだ」と主張していた通り、親子のバッグからウサギが出てきてゲリラでなかったと判ったのに、平気のヘーザで、メイドに「このウサギを料理しろ」と渡すのです・・・人非人だよ!

 最後に観念して息子(赤ん坊)を手渡して「大きくなったらお前の父親は・・・」とメッセージを話そうとするのを怒りのメイドから「その必要はない」と即刻、射殺されてしまいます。

 殺された主人公である少女は死ぬ間際の幻影だったのか? 異世界の王と女王である両親と対面している光景を見て笑顔で死んでいったのでした・・・。

 あ~、空しい・・・

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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