コンテントヘッダー

努力しているのは自分だけじゃない!

 私のところには読者から手紙が届くことが少なくありませんが、単なる読後感想文ではなくて、自分の武術に関する考えを聞いてもらいたくて書き送る人もいます。

 特に、『武術の教え』では、空手道・剣道・柔道・合気道・中国武術・武道系身体操法について書いているので、これまでの読者とは違った新しい読者からの手紙がいくつか来ました。

 まあ、普通に感想文とか励ましのお便りだと嬉しいんですけれど、自分の修行観とか武術理論とか書いてこられる方には閉口させられる場合がほとんどなんですよね。

 というのも、必ずと言ってよいくらい独善的な思い込み(誇大妄想)に過ぎないからなんです。

 そういう人達は武道を熱心にやってきた人が多い様子なんですが、慇懃無礼さが文章から滲み出てくるみたいで、それでも「読者は大切にしなきゃ~」と思って、最初の頃は返事を出したりもしていたんですが、拘わって得したことが一度もありませんでしたから、今ではほとんど無視するようにしています。

 何を勘違いしてんのかな~?と思うのは、所詮、武術だの武道だのがどれだけできても世の中に広く認められることはないと思うんですよ。

 何か、「俺は武道家だ!」みたいに偉そうに踏ん反り返ってる人もいたりしますけど、そういう態度の人って実力無かったりしますからね。劣等感の裏返しでエバりたいんでしょうね?

 この業界で大成功した人としては甲野氏がいるでしょうが、でも、私は別にうらやましいとは思わないですよね。

 だって、あんなに弱くっちゃ、いつ大観衆の面前でコテンパンにされて醜態さらすか判らない・・・心の底では怖くて怖くて仕方ないと思いますよ。

 私は、研究家として言わなきゃいかんと思うことは言ってきていますけれど、もう、どこで襲撃されても仕方がないと腹括ってますよ。でなきゃ、書けないですよ。

 武道・武術の世界にとって自分のポジションは“必要悪”だと認識しています。自分が正義だなんかちっとも思ってないですよ。普通の神経の人だったらドン引きするでしょう? だって、実名挙げて批判したりしている訳ですからね。「礼節を弁えていない」と非難されるのは承知の上です。

 それでも、誰かがそこまでやらなきゃ~、武道・武術業界の偽装体質は絶対に改善しないと思うんですよね。

 経歴を偽るとか流儀の伝統を捏造するなんて、この業界では大昔から当たり前だったんですから、「そういう真似は恥ずかしいことなんだ。捏造したら社会的制裁を受けるんだ」という観念を定着させなくちゃいけない。

 何しろ、専門誌は、インチキだと判っている人物や流派でも利潤を生むと判断すれば載せているんですから、改まる道理がありません。

 本当のことをきっちり書いてやろうとする度胸のある人間はいないと思います。それやったら、もう仕事貰えなくなりますから。

 独立して自分たちで仕事やっていた人達でも、結局、続かなくてライターに戻っている人もいるみたいです。ライターは、雇われているんだから自分の本音をそのまま書く訳にはいかないですよ。私でさえ妥協して書いてましたからね~。

 そもそも、武道・武術関連の出版業界って、そんなに売上の望める業界じゃないから、独立してやっていけるのは商才のある人に限られると思いますよ。「武道武術が好きだ」というだけの欲の無い人だと続けていくのは難しいでしょうね。


 よく、セミナー参加者とかから聞かれるんですが、「先生は武道や格闘技の専門雑誌には出ないんですか? 出たら絶対、評判になって人がもっと集まりますよ」と言われたりするんです。

 私はこう答えています。「いや~、俺を出したら他の稼ぎ頭の先生達の嘘が暴かれて雑誌が潰されかねないと警戒されてるから出してもらえないですよ。それに、自分で本書いた方が遥かに金が稼げるから、出してもらわなくて結構です。ライター時代みたいに才能を買い叩かれるのは御免だし、アイドル武術理論家のお仲間にはなりたか~ないですね」と・・・。

 でも、元フルコンタクトKARATE編集長だった山田さんとか、あの小島さんだって、そういう武道系出版業界?の中では独立して頑張ってる人達だと思いますよ。実際、沢山、本出し続けていますからね~。

 出し続けるってことは大変なことですよ。普通の人は出したくても、一生に一冊だって本を出せないものなんですから・・・。

 特に、最近は山田さんは凄いな~と、ちょっと感心しています。

 前回の沖縄空手の本も良かったですけど、今回の井上強一先生の合気道本はエポックメイキングだと思いました。合気道の理合をここまで分かりやすく解説した本は、佐原先生の本に続くものだと思いましたね~。

 合気道も、ついに技術理論が語られる時代になったか・・・?と、感慨深いものがありますね。

 何か、小難しく書くのが武道の王道みたいな風潮がこの業界にはあるんですが、そんな独善的な思い込みで書かれても、読んだ人に伝わらないんじゃ意味がないんですよ。

 特に、中国武術と合気道に関しては、その傾向が酷かったと思います。

 その傾向を改善したかに思えた甲野さんや高岡さんがまた、変に哲学的な方向に持っていってしまって、普通の読者には理解不能な世界にしてしまった印象がありました。

 宇城さんの武道論も、よく解らないですね。

 私が読んで、よく解らない本を、一体、誰が理解できるんだろうか?と思いましたけど、そんな本を「解りやすい」と持て囃す人達(勘違い)も一定数いる訳で、「あ~、武術って新興宗教を信じるみたいなもんだな」と思いましたね。

 武術に関しては、「理解できる」と言ったからには技が再現できなきゃ嘘ですよ。それを解って発言してんのかな~?と思う人ばっかりですね。

 つまり、「できないヤツはもの言っちゃダメ!」の世界なんです。

 でも、できないのにもの言っちゃう人が結構います。私はそんな人の言葉は認めません。だって、“ただの勘違い”でしょ?

 私は、自分でできると確信してからもの言うようにしています。だから、できないことは「できません」と言ってきてます。

 ただ、できるできないというのも、相対的なレベルの問題はあります。

 よって、「ここまではできる。それ以上はやってみなくちゃ判らない」と言ったり、「こういう場ではできない。けれども、こういう場ならできる自信がある」という具合に、なるべく正確に伝える努力はしているつもりです。

 武術・武道は立ち合えば結果でちゃうんですよ。どんな大層なこと言ったって、通じなきゃ間違いなんですよ。

 私が甲野さんを認めないのは、彼がまともに立ち合って勝ったことがないからです。それだけで武術としてはもうダメなんですよ。誰がどんな理屈言ったって、戦って勝てない武術は、もう武術とは言えないのです。

 もし、「戦えない武術には存在意義はないんですか?」と聞かれるなら、私は迷わず答えます。

「ありません!」と・・・。

「そんな考え方は傲慢ではないですか? 長野さん個人の考えを普遍化して語るべきではないでしょう?」と言われるのなら、続けて、こう答えます。

「武術というのは戦いに勝つために工夫され伝えられてきた技術体系です。その本質から外れるのなら、もう武術と冠する必要はない筈です。武術と冠するならば、その存在の本質である戦いから目を背けるのは文化としての武術の在り方に対して不誠実でしょう。つまり、貴方の考え方にこそ傲慢さが隠されているのではないですか?」と答えます。

 無論、それでも納得しないで理屈を言う人はいるものです。しかし、大抵の武術・武道の先生は、この手の人間は無視して相手しないでしょう。私は、屁理屈ばっかり言う人間はいきなりボコッてやるのが愛情かな~?と思うようになりましたよ。

 武術・武道は理屈を弄するものではなく、実践して体技を向上させることにしか本質がないからです。

 さらに言えば、狼藉者を撃退制圧できない者に武術を語る資格はないからです。

 はっきり言って、武術を修行するというのは、暴力の存在を肯定することです。綺麗事並べるような人間はやめた方がいい。「世の中のためにならんヤツは殺す!」ぐらいの極端な考え方のできる人間しか、残念ながら本質には迫れないんですよ。

 だから、逆説的に、よっぽど倫理的な意識と自制心が強い人間しか学ぶべきじゃないと思いますし、私は精神的に問題ありだと思う人はためらわずに入門を断っていますし、修行態度に問題を感じた人は破門にしてきました。

 趣味でヒマ潰ししたいだけなら、他にいくらでもあるでしょう? 私は本気で自分の心身を鍛えたい人に来て欲しいので、ふざけた人間はお断りしたいですね。

 無論、今どきの習い事の感覚で、金払えば何でも教えてもらえると思っている人も何人も来たりしましたが、そういう態度の人は即座に断りますね。礼儀知らずに教えることなんかありません。

 でも、上には上・・・じゃなかった・・・下には下がいるもので、金さえ払わずに教えてもらおうとする人間すらいます。

 何で、そこまで赤の他人に甘えられるのか解りません。


 以上、実は前フリです・・・。

 先日、読者の手紙で、「自分の本を出版したいから協力してください」という内容のものが送られてきて、シダックスの講座に来ると書いてありました。

 文章の書き方(貴殿、とか小生と書いている)から高齢者か?とも思いましたが、師範代や親しい居合道の先生に見せたら、「意外と若い人じゃないか?」との感想でした。

 当日、講座が2/3くらい進んだ頃に、その手紙の主がやって来ました。居合道の先生の読み通り(流石です)、33歳とのことで私より一回り以上も若いので、内心、驚きました。

 何故なら、彼は「武道の極意が解ってしまったから本を出したい」と言うのですが、武道経験は剣道だけで、それも人に教えている訳でも実績がある訳でもないようなのです。

 しかもニートで親に食わせてもらっている様子。要は引きこもりなんですね。

 私は、出版事業というのがいかに金がかかって困難なものなのかを具体的に彼に話し、また、彼の手紙を読む限り、「小学校六年生でも、もう少しまともな手紙を書くよ」と、その文章表現力の致命的な足り無さを指摘し、本を出したいなら自費出版しかあり得ないことを説き、相場として千部作るのに約三百万円くらいはかかるという話をしました。

 率直に言って、彼は引きこもって自分の観念だけに閉じこもって考えているうちに社会へのルサンチマンがつのり、誇大妄想が膨れあがっているんだな~と感じました。

 武術愛好家には病的なタイプが結構いますが、彼はかなり、その境界にいるように思えました。

 もう少しイッちゃっていたら、話すだけ無駄なので適当に追い返すんですが、わざわざ遠くから来ていたので、この日は講座後にファミレスで一時間くらいいろいろと話してあげました。

 そうすると、どうやら彼は自分の中にたまっている毒抜きをしてくれる人(話を聞いてくれる人)が欲しかったんだろうな~?という感じで、これまで剣道の先生や仲間を含めて周囲の誰もまともに相手しないで頭ごなしに叱りつけたりするだけだった様子がうかがえました。

 だから、ルサンチマンが溜まってしまったんでしょうね。

 もっとも、彼の言う恨みつらみの原因は、すべて彼自身の傲慢さにあると思ったので、「厳しいことを言ってくれる人は本当に考えてくれているもので、俺なんかも何とも思ってない相手にはテキトウに愛想良くするよ。だから、きついこと言われたら感謝した方がいいよ。だって、自分の欠点は自分じゃわかんないだろ?」と答えました。

 すると、彼もハッとした顔になって、自分の問題点を素直に自覚できた様子で、トゲトゲしていた表情が和らいで、帰る時には本心から「ありがとうございました」と言ってくれました。

 いや、正直言って、私は彼の手紙の書き方が非常にのぼせ上がった感じだったので、怒鳴りつけてやる気満々でいたんですね。

 彼が遅れてきたから練習には参加させずに見学だけ許したんですが、最初から練習に参加していたら、「この程度の腕前でつけあがるんじゃない!」と怒鳴りつけていたかもしれません。そのくらい手紙の書き方が礼儀知らずだったのです。

 でも、直接会ってみて、根本的には真面目な性格で、本人的には礼儀を弁えているつもりだけれども、自尊心が強過ぎるのと社会経験が少ないから、“人とのコミュニケーションの取り方を知らないだけ”なのが見えたので、その場で彼の対応の仕方を観察しながら応対することに方針変更したのです。

 お日様と北風の話みたい?で、やっぱり、感情的に優しく説明してもらった方が素直に受け止められる場合が多いでしょうね。

 彼の本音は、「人に認めて欲しい」というのが根本にあったんじゃないか?という感じがしました。

 私は認めた訳じゃありませんが、彼の話を正面から受け止めたので、それが彼にとっては滅多にない経験だったのかな~?という気がしました。


 しかし、後からふと思ったのは、私自身も昔はあんな感じで、身の程知らずに自信だけ過剰にあって、周囲からは生意気なヤツに見えていたんじゃないかな~?と・・・。

 人のフリ見て我がフリ直せ・・・ってのは、名言ですよね。

 やっぱり、努力してるのは自分だけじゃないですからね。そういう自分を客観的に見れないとジレンマに陥ってしまう訳ですよ。

 自宅に引きこもって趣味に埋没して生きていると、世の中の作法について学ぶ機会がなくなってしまうものです。積極的に自分から人との直接の繋がりを持っていかないと、取り返しのつかない事態に陥るかもしれません。

 だから、武術の独修は毒修になりかねませんから、きちんと習いに行きましょうね。


追伸;二尺五寸六分の刀の拵えが出来上がりました。なかなか良い感じでできたかな~?と思います。樋は入ってないんですが、軽くて刃渡りが長いので、振るとピューッと風切り音がします。先細りしているので実際より長く見えて居合の稽古には使いやすい感じがします。試し斬りには華奢ですが、演武用には良いかな・・・と思って、今回は鞘のコジリ金具は装着しないでアクリル板を張り付けて成型してみました。安上がりな割りに、これも感じがいいかも知れませんね? 現代刀みたいな格好良さはありませんが、私は古刀が好きですね~。

関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索