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8月セミナー“聴勁”について

 え~、8月の月例セミナーのテーマは“聴勁”でございます。

 7月が“読み(目付け)”だったのですが、視力が弱い人にとってはハンデがあるやり方ではありました。

 特に眼振の病気があると言われる方もいらして、「目付け以外の読みの方法はあるのか?」との御質問も頂戴していました。

 無論、あります!

 聴勁というのは、「力を聴く」という意味なんですが、基本的には皮膚感覚(触覚)で察知するものなんですね。

 聴くと言うと耳で音を聴くイメージがあると思いますが、要するに、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)をフル活動させて用いる訳ですね。

 このうち、視覚は目付けなんですが、聴覚と触覚を駆使して敵の攻撃を察知しようとするものが聴勁だと思ってもらっていいでしょう。

 何だか、座頭市みたいですが、目の見えない人は聴覚が異常に鋭敏になると言われますね。それと同時に触覚も鋭くなるようなんです。盲目の人がマッサージ業を営む理由がここにあります。

 人間って、身体のどこかが悪くなると、それを補うために他の器官が発達するんです。

 だから、野口整体なんかでは「目が悪くなったら逆に使え。そうしないと休ませると機能が落ちる一方になる」なんて指導をするそうです。

 きついトレーニングを始めると最初はしんどいけれど、段々慣れていくでしょう? 身体の適応能力なんですね。

 よって、休み過ぎると身体は弱くなってしまうんですよ。

 ところで、嗅覚と味覚は武術と関係ないと思われますか?

 いや、そんなこともないんですよ。昔は毒殺も武術の裏技だったので、嗅覚と味覚でそれを察知するのも重視されたんですよね。

 これは別に忍術だけに伝わっていたんじゃないんですね。昔の古武術は医術も伝承していたから薬方も研究されていたんですよ。

 それはともかく、聴勁で最も根本になるのは、“推手”です。

 つまり、触れたところから相手の攻撃しようとする意志を読んで、先に潰していくものです。

 何故、触れただけで読めるか? それは、攻撃の意欲がわくと筋肉が微細に収縮して圧力が出るので、その接触している接点の圧力変化を読む訳です。

 催眠術の暗示効果で“観念運動”というのがあるのはご存じでしょうか?

 糸に五円玉を吊るして片手の指先で吊るしておいて、「右に揺れる」「左に揺れる」「右に回る」「左に回る」と声をかけることで、五円玉が独りでに言われた通りに動き出すもので、気功団体なんかでもパフォーマンスでやって見せたりします。

 これは、言葉の暗示によってイメージが発生することで、無意識に筋肉に信号が送られて、イメージの通りに動く無意識の反射運動なんです。

 推手の上手い人になると、その微かな接点圧力の変化まで読むことができるようになり、徐々に相手に触れなくとも察知できるようになります。

 そうなると、それこそ空気の流れの変化まで察知するように聴くことができる。だから、“聴勁”と呼ばれる訳ですね~。

 で、セミナーでは、この推手の訓練法と、更に推手からの打撃技や逆技、崩し技などまで解説指導する予定です。

 目付けの場合は触れ合う前の間合から始まりますが、聴勁は触れてからが勝負になりますので、その触れていく要領についても指導しようと思っています。

 前回の目付けがうまくできなかった人は、聴勁を駆使することで多彩な戦法が使えるようになりますし、また、通常の打撃技をすべて封殺してしまうことができますから、総合格闘技なんかにもかなり有効性が高いのではないかな~?と思っています。

『オルトロスの犬』という番組で、「触れただけで人を殺せる特殊能力」の持ち主が登場していましたが、それに近い技が駆使できるようになってしまいます。

 白猿通背拳らしい技の遣い手で酔鬼張三という実在の武術家がいて、その逸話に、車夫と口論になった張三が、車夫の胸に軽く触って立ち去ったところ、一瞬遅れて車夫は昏倒してしまい、助け起こされた時にはもう絶命していた・・・というものがあります。

 これは暗勁(浸透勁)の高度なレベルに達した人の打撃技の様子です。

 もちろん、私はこんな技はとても使えませんが、軽く打った会員が、翌日、身体がだるくて起き上がれなかった・・・といった事件が3~4回はあり、それ以後、なるべく威力が浸透しないように注意するようにしています。

 浸透勁の打撃法は、その場で大したことがなくても、後から後遺症が出る危険性があるのです。これで打たれると、何とも言えない気持ちの悪い溶けた鉛がズーンと体内に浸透し沈殿してくるような不快な感触があります。

 私は実験でわざと打たせてみて解ったんですが、本当にこれは危険だと思います。太極拳なんて、こればっかりですからね~。本当に陰険な拳法だと思いますよ・・・。

 力が後ろに抜けるようにふっ飛んだ方が安全なんですね。

 ちなみに、“毒手”というのがありますけれど、毒薬に浸して鍛える鉄砂掌や朱砂掌のイメージで、「打たれると毒が浸透して・・・」という刃牙が柳龍光にやられたアレを思い浮かべるかもしれませんね。

 しかし、毒手という言葉の意味は、殺人的な暗勁(浸透勁)の打撃技の異称なんです。

 大体、劇毒に浸して鍛えたりすれば手の方が爛れて壊死してしまうでしょう? 毒を遣うのなら、暗器(隠し武器)に塗るとか飲食物に混ぜるとかした方が効率的ですよね。


 おっと・・・何か、ヤバイ方向に話が進んじゃいましたね?

 まあ、推手の実戦性の背景を知ってもらいたいと思ったんですが、稽古する分には楽しくやりましょうね。

 実際、格闘技には非常に応用が効くと思いますよ。


追伸;游心流壮年部フルコンタクト派?の会員さんが試合でカカト落としを食らってKOされてしまった・・・との連絡を受けていたんですが、定期稽古会で試合の様子を聞きました。何と、相手は57歳だったそうで、その年齢でカカト落としを繰り出すというのはビックリ! これはもう負けても仕様が無いな~と思いましたが、試合内容的にはかつてない調子の良さを感じて満足できたそうでした。が、「やっぱり、慢心したのか(カカト落としを)食らったのも全然覚えてませんでした」とのことで、この敗戦はむしろ得難い経験なんじゃないかな~?と思いました。ただ、試合当日ではなくて後日、鞭打ちみたいに首が痛くなってしまったそうで、多分、頸椎がズレたりしているんだろうな~と思いました。直接打撃制試合はやはり注意しないと後遺症が出ますからね。皆さんも御注意くださいませ・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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