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第八回天真書法塾発表会

 今年も、日中友好会館で、青木天外先生率いる天真書法塾の発表会が開催され、観てきました。

 発表会を観る時に名前を記したんですが・・・私は小学生の時に習字を習っていたものの、確か一級か二級しか貰っていません。筆で書いたのは小学生以来で、こんなに難しかったっけ?という驚きと共にさっぱり書けませんでしたよ。筆ペンも下手だったけどな~。

 何でも、天真書法塾は、中国の国際競書展にチャレンジし続けてきて、100を超えるグランプリ、準グランプリ、各上位の賞、招待作家賞を獲得し、今年も西安碑林主催「顔真卿生誕千三百年記念国際競書展」で、出品者全員が入選したばかりか、グランプリと準グランプリを獲得したとのことです。

 何だか、どのぐらい凄いことなのか門外漢には想像もつかないくらい、とにかく凄い!

 青木先生は武道に於いて現代日本を代表する達人でありながら、宮本武蔵もビックリという芸術方面での才能も凄い人なんだと思ってはいたんですが、こんな短期間で人を育てられるということも含めて天才過ぎです。

 何といっても、普通の達人というのは、本人だけが達人で、人を育てる才能は無かったりするもんです。

 武術の世界では「俺はこんな凄い達人に習っているんだ」と自慢するボンクラ君がウヨウヨしているのが、その証拠です。

 達人に弟子入りしたら自分もいつか達人になれると考えるんでしょうけど、世の中、そんな甘くないっすよ。甘えん坊は結局、ものになりません。依頼心は成長の敵です。

 正直、昔の新体道を観ていた時はそう思いました。青木先生と何人かの先生はベラボーに強いけど、習っている人達がそうなれるんだろうか?と、疑問に思えていたんです。

 でも、江古田のライブを観て、認識が改まりましたね。「なっ、なんじゃこりゃあ?」と、私はジーパン刑事の物真似しましたよ。心の中で・・・。

 もう、書いちゃいますけど、「あの伝説の楽天会のメンバーでもここまで到達していたのか?」というのが私の偽らざる感想でしたよ。

 一緒に観ていたうちの師範代と指導員も二人とも呆然としていました。二人とも空手経験があるので、新体道空手の到達しているレベルが解ったのです。


 さて、今年はパーティーにも招待していただいていたのですが、青木先生が「完成した刀を早く観たい」ということだったので、これも会場に持参しました。

 早速、抜いて振ってみられていましたが、やっぱり、柄の太さにやや困惑されていたみたいですね(青木先生自身が選んだ柄なんですけどね)。

 会場には日子流の田中光四郎先生とお弟子さんの木村真実さんもいらっしゃいました。

 よくよく考えると、私は光四郎先生と一緒に写真撮ったことなかったもんですから、記念に一枚、撮らせていただきました。
20091128.jpg

 光四郎先生が昵懇にされている刀匠が鍛えられたという流星刀(隕鉄と玉鋼を混ぜて打った刀)のこととかもお聞きしたんですが、何か凄い刀らしくて刀バカ一代の私のハートに火がついちゃいましたよ。

 私は人間でも刀でも個性の強いのが大好きなんですよね。平凡なのが大っ嫌い。

 パーティーは、塾の皆さんの表彰式もあり、多彩な来賓挨拶(何と! 即興ジャズトランペッターで世界で活躍する近藤等則さんも駆けつけられていました)もあり、小咄もあり、演武もあり、そして青木先生の剣武もあり・・・の、和やかな中にもゴージャスな世界のアオキに相応しいものでした。

 全体的にコンパクトに纏められた中で、この内容の濃さは凄いな~と思いましたね。

 私はまた、てっきり、最後の方で青木先生が剣舞を踊って終わるだけだと思っていたもんですから、何か、凄い得した気分でしたね。

 特に、NPO新体道の大井主席師範と綿谷衛指導員の新体道武術の演武で、珍しく瓦割りを披露されたのは楽しかったですね。瓦を重ねた上にブ厚いバスタオルを重ねて置き、拳と肘で割ってみせたんですが、ほとんど接触するくらいの位置から重心落下でザクンッと割れる様子は圧巻でした。

 ちなみに、ブ厚いバスタオルを置くのが拳や肘の保護の役割をするとしても、これは逆に威力が集中浸透するには逆効果になりかねず、意外と難しかった筈だと思えました。

 例えば、試し斬りで湿らせたマキワラを切るのと乾いたツルツルの竹を切るのでは、圧倒的に竹の方が難しいのですが、何故か?というと、刃先が食い込むかどうかで力のベクトルが集中するかどうかが左右されてしまうからなのです。

 これは、切る対象に着物を着せて切ってみる実験をおこなった人の報告でも難易度に大きな差が出たという話をしていました。

 タオルの生地に当たって、瓦に力が伝わる前にほんの僅かでも滑ったとしたら、失敗した可能性もあるのです。

 一、二年前くらいに、この力の伝達の仕組みについて思うところがあり、すべての技に原理的に応用してみたんですが、それで中身がガラッと変わってしまいましたね。

 何年かぶりに来た会員が、「物凄い変わっているから驚きました」と面食らっていました。

 迷いなく地軸に切り込むような勢いで肘を落としていった大井師範を観ていて、私は、かの示現流開祖、東郷重位が藩主の命令で大きな碁盤に斬り込み、ほとんど切断し、畳の下の根太にまで刀が食い込むほどの斬撃を示して“意地”を見せた・・・という逸話を思い出しました。

 余談ですが、帰宅してから青木先生のお電話を頂戴し、「演武の時に長野さんと目が合って、すんごい真剣に観てたから照れちゃったよ~」と言われていました・・・そういうオチ?

 いや~、私、ダテに武術研究家と名乗ってる訳じゃないっスから~、そりゃあ、スキあらば技を盗んでやるぜいっ!という気持ちで観てますからね。

 今回は特に、青木先生が刀の握りを右手左手の位置を滑らせ持ち替えながら振られているのと、骨盤の捻り、胸骨の開閉、膝の抜きなどを絶妙に連動させて淀みなく踊られている様子を、しっかり脳に映像として焼き付けておこうと思っていた訳ですね。

 非常に自然にゆったりと動かれているので、気づく人は少ないと思うんですけど、一つ一つの身体各部の動作は、それだけ真似しようとしても難しいんですよ。

 そしてまた、それを部分部分をバラバラに動かしながら全体の動きとして統一して動きの流れを途切れさせないというのは、物凄い至難な技ですよ。

 奇しくも田中泯さんが「本当にデタラメをやるのは難しい」と言っていたように、青木先生の何げなくやっている動きの秘めているものに気づいたら絶句するでしょうね。

 でもね。私は盗ませていただきます! だって、観せてもらってんだもん。これ以上の教えがどこにありますか?

 手取り足取り、技の意味を解説して教えてもらっても、できるようにならない人が今はざらでしょうが、それは習う者としての心構えがなっていないだけですよ。

 昔の先生は説明もしないし技もやってみせないのが当たり前。年に一、二回、気が向いた時にやって見せた技を必死になって観察して、「あ~でもなかった、こ~でもなかった」と四苦八苦して再現しようと発狂したようになって練習する・・・それが武術の本当の学ぶ姿勢ですよ。

 言うなれば、これもまた“読み”です。

 あっ、そうそう・・・「長野さんのDVDの教室みたいなところでいろんな武道やっている人に教えているところ・・・あれは結局、教えているようでいて、実は長野さんが技を盗んで一番、得してるでしょ?」と、青木先生に観抜かれてしまいましたよ。

 アチャ~・・・、バレたか~?

 さすが、武道界随一の読みの達人だ・・・。


追伸;NPO天真会は、天真書法塾、剣武天真流、瞑想カレッジ、奨学会を通じて精神修養・健康増進・個性の解放・国際親善まで幅広く貢献している非営利団体なんですが、特にフィリピン中高生、中国雲南省少数民族、チベット難民学童、ネパール山間部学童などの教育支援をされていることは武道家としての青木先生しか知らない人はご存じないでしょう。本当に世の中に貢献する人は、自分からアピールしないものですが、武道という狭い世界で強いの弱いの言って一生終わるような、みみっちい人間にはなりたくないものですよね。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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