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『刀匠 河内國平という生き方』を読んで

 久しぶりに代々木の刀剣博物館に足を運びました。

 どうしてか?というと、町井勲先生がブログでお薦めされていらしたからです。お目当ての刀は古備前の真恒です。

 当日は第五十五回重要刀剣等新指定展の最終日。来国光や包永、貞宗、一文字、長光、金重、青江吉次、長曽袮興里虎徹、津田越前守助広、陸奥守忠吉、大慶直胤、藤原清人(源清麿の弟子)といった名工の作が並んで壮観でした。

 日曜の稽古会が終わって、軽くファミレスで食事しながらお喋りし、それから向かったんですが、ちょっと博物館の開館時間の終了が迫っていたので、この日は防具も用意していたんですが、いったん家に帰っている時間が惜しいので、家が近い会員に「これ、部屋の前に置いておいて~」と頼んで、駅から直行しました。

 横浜線で橋本駅へ、そこで京王線の急行に乗り換えて、都営新宿線の初台駅で降り、終了時刻まで一時間しかなかったんですが、まあ、ざっと観るには充分です。

 お目当ての真恒を見ると、「兵庫県 町井竣哉」となっていましたが、これって町井先生の御本名なんでしょうか? 私と同じ名前だったとは? ちょっとビックリしました。

 そういえば、うちの流派は游心流、町井先生は修心流・・・なんか似てる。光栄です。

 外にも、インターネットで悪口書かれまくってるところなんかも似てる? まあ、陰で誹謗中傷するようなヤツは武術やっていても未熟者なのがバレバレだから、気にする必要はありませんが・・・。

 それにしても、古備前、真恒・・・お薦めされるだけの気品のある刀でした。小さい切っ先で定寸の直刃。飾り気のないシンプルな渋い作柄で、武人の好む刀だな~と思いましたよ。

 古備前というのは、備前刀で有名な長舩派や一文字派より古く、平安後期から鎌倉初期の頃の、友成や正恒、包平が有名なそうです。いや~、スンゴイですね~。町井先生の真恒は、『図説・日本刀大全Ⅱ』に掲載されていた正恒の刀の写真とそっくりでしたけど、ひょっとして同一人物? 不勉強で私は判りません。刀に詳しい方、教えて~!

 無論、ここに並んでいる刀はどれも逸品揃いで、私は薙刀直し刀の一文字に痺れましたね~。どうも、派手なのが好きなんですよね~、私は・・・。

 ささっと観て回って、さくさくっと帰ろうと思ったんですが、受付のところで売っている刀剣関係の本の中で『刀匠 河内國平という生き方』(写真・文 宮田昌彦 里文出版)という本を買いました。

 写真集なんですが、推薦文を作家の山本兼一さん(『いっしん虎徹』が注目された)と写真家の織作峰子さんが書かれていて、河内刀匠の言葉とかが相田みつをみたいな語録になっていたり、陶芸家の樂吉左衛門さんとの対談が載っています(これがもう伝統工芸に生きる芸術家同士の話で物凄く示唆に富んでいます)。

 本当にこの本は素晴らしいですよ。武術修行とか芸道を歩いている人にとっては重要なヒントがちりばめられています。

 私は田中泯さんと話しているような印象を受けましたね。一脈通じるような気がする。

 芸術の分野の中でも工芸の世界は、製作過程そのものは職人の世界ですよね。けれども、身体芸術の世界も自らの身体を自在に表現し得るレベルに練り上げていく過程は工芸と共通すると思うんですね。

 無論、武術もそうです。格闘技と決定的に異質なところが、この芸術的な世界観なんじゃないかと思います。美意識だの思想だのというコトバは権威主義的でイヤラシイから大嫌いなんですが、そういう意図的な“あざとさ”じゃなくて、もっと原初的な感覚の中に立ちのぼってくる“これだ”って思う瞬間は確実にあるんですよ。

 無理に言葉にすると、“面白い”と思う感覚。私の求める感覚としては、“美しい”より“面白い”なんですよ。“面白い”といわれるのが最高の誉め言葉ですね。

 この言葉の中に大抵の要素が含まれるでしょ? キレイもキタナイもスゴイもバカバカシイもカッコイイもカッコワルイもニクタラシイもカワイイも、対極的な反対の意味も含めて“面白い”と表現できるでしょう? 

「俺は嫌いだけど、コレ、面白いね」とかね? 物凄く不合理なんだけど成立しちゃうんですよ。このコトバは・・・。つまり、意味性を超越しているんですよ。

 私は、割りと映画なんかでも名作と呼ばれる作品よりチープなB級作品の中のキテレツなシーンに惹かれるんですね。面白いシーンを撮ろうとしているでしょ? そこがカワイイからいいじゃないですか? シャレっ気があって・・・。

 私は、やっぱり、シャレの解るイキな人が好きですね~。糞真面目な人ってつまんないしね~。

 やっぱり、私も、もっともっとスットコドッコイなことやってアバンギャルドな人間になって、周囲の人達から珍獣扱いされるようにならんといかんな~と思ってます。


 それはさておき、河内刀匠の言葉じゃありませんが、奥さんが、「お父さんが必死になって三十年かかって工夫してきた技術を、ちょっとしたことで辞めたい言うような、ナサケナイ人に教えなアカンのかと思もたら、くやしいて悲しいて言葉にならへんわ」と語っていたというところは、何か、最近の私自身の気持ちを代弁してもらっているようにも思えました。

 本当にね~、やる気があって来たのなら、それなりに黙って続ける姿勢は欲しいですけど、耐久力が無さ過ぎるな~と思いますよね。

 武術やりたがる人は神経が細過ぎますよね~。結局、続く人って体育会系の人だけだったりするもんな~・・・。

 河内刀匠の奥さんの気持ちは、よく理解できますね。

 この本の帯には、「この生ぬるい世の中を、一刀両断する!!」と書かれていますが、確かに今の世の中、優しさと弱さの区別のつかない生ぬるい人間ばっかりだよな~と思いますよ・・・。


追伸;月刊空手道に倉本成春先生が出ておられました。剛を極めて柔に至っている数少ない現代の達人だな~と思いました。これは絶対、見た方がいいですよ。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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