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『崖の上のポニョ』ってクトゥルー神話っぽい?

 近所のコンビニに週一回は最低でも行くんですが、そこで『恐怖と狂気のクトゥルフ神話』という552円本を買ってきました。

 この手の500円本は山口敏太郎さんや天野ミチヒロさんのUMA本とか大好きでよく買うんですけど、安いからと思ってちょくちょく買ってると意外と金使っちゃうもんですから、最近は控えていたんですね。

 クトゥルー神話系の解説本も、ちょっと買い過ぎていたので、これは買わずにいたんですけど、ちょっと立ち読みしてペラペラめくっていたら、佐伯日菜子主演の『エコエコアザラクⅢ』も紹介されていたので、「こりゃあ、買わなくちゃならん!」と、その1Pのためだけに買いました・・・。

 この作品、劇場で観た時は、TVシリーズほどのインパクトが無かったので、正直、ちょっと物足りなく思ったんですけど、でも、ストーリー的には何か凄いことになっていて、黒井ミサがクトゥルー神話の邪神たちと真っ向勝負するような設定になっていて燃えるんですけどね。

 マニア的にオオッと思うのは、『ダンウィッチの怪』のウィルバー・ウェイトリーの子孫(江取=エトリと名乗ってる)が日本に移住していて女学校を経営しながら邪神復活の研究をやっていて、その過程でホムンクルスを誕生させていた・・・ってな背景で、この世界観を膨らませて黒井ミサの新シリーズやってくんないかな~?なんて感じもするんですよね。

 もともと、佐伯日菜子版のTVシリーズって、遊びでクトゥルー神話の要素がちりばめられていて(第一話でミサが友達と行くクラブの名前が海神のダゴンだったり、「仮面」の回では『ピックマンのモデル』とか『彼方からのもの』の影響があってミサが風の神ハスターの呪文を唱えていたり、ミサの妹が唱える呪文が「エコエコヒプノス・エコエコノーデンス」と、旧神ノーデンスの名前から採っていたりする)、後半になると敵の教団がクトゥルー神話の邪神を崇めているらしいという雰囲気が濃厚になっていました。

 そこがデビルマン的な黙示録の雰囲気を漂わせて原作を超えたチカラがあったんですよね~。

 黒井ミサを演じたのも、吉野公佳、加藤夏希、上野なつひ、近野成美と五人になるのに、やはり圧倒的に佐伯日菜子の印象が強い。それは彼女の異邦人的な美しさが関係しているんじゃないかな~?と、この前、『アサルトガールズ』を観た時にも思ったんですけど、これはもう、成長した黒井ミサが邪神の軍団と戦うストーリーでシリーズ化してもらいたいですね。

 そんでもって、黒井ミサというのは以前のTVシリーズでも暗示されていたように一人ではないという設定で、覚醒していない少女を主役にして、かつて黒井ミサだった佐伯日菜子が助ける・・・みたいな話にしたらいいんじゃないかな~?

 やり方によってはデビルマンや魔界水滸伝を超えるかも?


 話をもとに戻します。

 クトゥルー神話の産みの親であるH・P・ラブクラフトが黒魔術やグノーシス派の秘教系の知識があったという見解をコリン・ウィルソンなんかが出しているんですが、確かに、「黙示録の獣」を自称していた二十世紀最大の黒魔術師(山師?)アレイスター・クロウリーとか神智学(マダム・ヴラバッキー。この派からルドルフ・シュタイナーやジッドゥ・クリシュナムルティーなども出ていて、何か日本の新興宗教界とも似ている気がする)の教義にも近くて、もともと、クトゥルー神話と黒魔術は相性が良かったんですね。

 魔術にSF的な宇宙観を加えたのがクトゥルー神話であり、そのダークな世界観はコズミックホラーと呼ばれています。

 宇宙創成の神が、盲目白痴の邪神アザトース・・・なんていうダークな解釈がマゾヒスティックなホラー感覚を喚起するのです。

 ギリシャ神話のテュポーンやヒドラやゴーゴン、ミノタウロス、北欧神話のフェンリル、ヒンドゥーのナーガ、道教の女蝸、日本神話のヒルコにヤマタノオロチ・・・といった異形のクリーチャーはいるものの、主要な神は人間の姿と変わらない。

 ところが、クトゥルー神話の神々はほとんどが異形そのもので、人間に似てるのはノーデンスくらいかな? 後はナイアルラトホテップが、たま~に人間の姿で出てきたりするくらい。

 形態的には、ウルトラQのバルンガやゴルゴス、ウルトラマンのブルトン、ウルトラセブンのペテロ、帰ってきたウルトラマンのバキューモンやバリケーンやビーコンやプリズ魔、ウルトラマンAの異次元人ヤプール、ウルトラマンレオの円盤生物なんかがクトゥルー神話の邪神に近いでしょうか?

 中でもウルトラQに登場した海底原人ラゴンが、ウルトラマンでは身長30mに巨大化して出てきて口から放射能火炎を吐いたりした様子を見れば、巨大化したという設定よりも、Qの時はインスマス人で、マンの時は邪神ダゴンだったという解釈が成り立ちます。

 半魚人のイメージって水棲人類なんでしょうが、最近のUMAでもカエル男とかありますし、ボルネオのオランイカン(オランウータンが“森のヒト”だから“海のヒト”)、日本の河童や中国の水虎も、その類いのイメージなんでしょうね。

 ホラー映画批評家の鷲巣義明さんは、ヘドラとクトゥルー神話の類似性について書かれていましたが、なるほど~と思いましたね。そういう点ではレギオンもそうでしょうね。

 いっそのこと、クトゥルー神話を題材にした怪獣物を作ったら面白いでしょうね。

 多くの作家が創作意欲を刺激されているのも特徴で、それをまた「盗作だ!」と排除しないで鷹揚に受け入れるところもまたクトゥルー神話が都市伝説的な広がりを持っている理由でしょう。

 平成ウルトラマンやエコエコアザラク、それにジャイアントロボにまで、小中千昭が脚本を手掛けた作品には必ずといっていいくらいクトゥルー神話との結び付きが出てきますが、そもそも、Jホラーのルーツとも言われる心霊ホラーVシネ『邪眼霊』なんて、アイドルが歌う歌のタイトルが「ラブ・クラフト」なんだから、ちょっと苦笑しちゃいます。

 そして、伝説となった『ギミア・ブレイク』中の佐野史郎主演の『インスマスを覆う影』は、ラブクラフトの代表作の一つを日本に置き換えた傑作ホラーで、凝り性の佐野さんがノリノリで演じていて、怪談的な裏話まであったそうです。

 佐野さんは『ゴジラ・ファイナルウォーズ』でも、クトゥルー神話ネタを口走るキチガイ・テロリストを強引に演じて、何となくこの作品がクトゥルー神話に繋がっているかも?みたいな印象を無理やり付加していました。まあ、個人的にはいいんですけど・・・。


 さてさて、密かにクトゥルー神話にはまる作家が少なくないということは御理解いただけたか?と思いますが、以前から噂されていた「宮崎駿監督がクトゥルー神話好きなのではないか?」というネタですけれど、これも当然、本の中で触れられてます。

 それによれば、『となりのトトロ』はツァトゥグアに似てるとか、『千と千尋の神隠し』のカオナシがナイアルラトホテップではないか?とか、「なるほどな~」と思わせる見解があるんですが、いや、それはちょっと穿ち過ぎなんじゃないかな~と言えば、言える訳ですね。

 しかし、『崖の上のポニョ』に関しては、確かに、ポニョってモロにインスマス人(半魚人)だし、グランマンマーレって海神ハイドラなのかな~?という感じもします。

 フジモトはダゴンの隠喩なのかという話もあるようですが、こっちはランドルフ・カーターか魔導士エイボンとかミスカトニック大学の邪神研究の第一人者、ラバン・シュリュズベリイ博士とかの魔術的博士のイメージの方が近いように思えます。

 あるいは人間に精神寄生体が宿ったのか?という印象も受けます。

 正直、「オイオイ、これって人魚姫が元ネタっていってたけど、クトゥルー神話の間違いなんじゃないの?」って感じがしましたね。

 何か、『千と千尋・・・』の時のような隠された宮崎監督の邪悪なイタズラっ気が感じられてなりません(あの作品って少女売春の隠喩だもんね)。

 例えば、これを実写化したとすると、かなりオドロオドロしい映像になると思いませんか? 主人公がポニョと一緒にトンネルに入って歩いているうちにポニョがカエル顔の半魚人になっていくところなんか怖いと思いませんか~?

 実写にしたら、相当、ホラーっぽくなると思いますよ。

 宮崎監督はそれを狙ってると思うな~。

 で、大人になったポニョが結婚してできた子供が大きくなると半魚人になっていく・・・なんて後日談ができたら、まるっきり『インスマスを覆う影』と一緒。怖いよ~。

 あっ、そういえば、『もののけ姫』のシシ神様がヘドラみたいになって暴れるクライマックスのところなんか、『ダンウィッチの怪』を思い出すな~・・・やっぱり、宮崎監督はクトゥルー神話好きな可能性高し!

 ただし、ポニョに関しては、諸星大二郎の『栞と紙魚子』に出てくる作家の段一知(ダンイッチ?)とその巨大な顔だけしか見せない奥さん、ペットのヨグ・ソトホート、娘のクトルーちゃんの一家がモデルではないか?という説もあって、確かに、こっちの方がソックリなんですね。

 この作品は深夜ドラマ化もされたナンセンス・ホラー・コメディなんで、ポニョの元ネタと言われても違和感ありません。

 宮崎監督も諸星大二郎のファンを公言していることだし・・・。


追伸;この『恐怖と狂気のクトゥルフ神話』の執筆してる佐山史織さんって、プロフィールのところに“武術家”って書いてあって、何者じゃ?と思いました。この前買った『[図解]武将・剣豪と日本刀』にも書いてましたね。かえる、佐藤新也ってライターも被ってるじゃん? あっ、よく見たら、出版社もどっちも笠倉出版社じゃん。俺もこういう辞典っぽいの書いてみたいな~。


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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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