コンテントヘッダー

日本古武道演武大会DVD

 ちょうど、筑摩書房さんの本の印税が振り込まれて余裕ができたので、BABジャパンから出ている日本古武道演武大会のDVD(二枚組)を買いました。

 やっぱり、いろんな流派の技を一度に見れるのは勉強になりますからね。

 特に、今回、幻の流派“雲弘流”の演武があったので、これは見なくちゃいかん!と思って買った訳なんですよ。

 雲弘流の開祖は、井鳥巨雲。井鳥巨雲は晩年の小出切一雲(この当時は片桐空純と名乗っていた可能性あり)にも学んでいて、一雲が工夫した型を伝えているとされます。

 一雲といえば無住心剣術の二世です。

 幕末の剣客、白井亨は、一雲を古今最高の剣聖と崇めており、その認識が現代の剣道界にまで伝わっているくらいです。

 しかし、何度も書いてきているように、無住心剣術は、一雲が弟子で三世を継いだ真里谷圓四郎に敗れてしまったことから徐々に崩壊していき、白井が活躍していた頃には影も形もありませんでした。

 ですから、無住心剣術の影響を受けて現代まで伝承している流派は、恐らく、この雲弘流が唯一だと思われるのです。

 なので、剣道雑誌で失伝しないで現在でも伝えられていたことを知った時は、どんな技を使うのか興味津々だったのです。

 その雲弘流のみならず、様々な剣術・柔術・居合術・弓術・槍術・棒術・薙刀術などの流派の技が見られるのですから、非常にお得でしょう。

 もっとも、大槻ケンヂさんが『ぴあ』の連載で演武大会を見た感想をユーモアを交えて書いていらしたのを読むと、何か、二十数年前に見たホゲホゲ感が蘇ってしまいそうで、ちょっと、おっかなびっくりだったんですが・・・。

 で、実際に見た感想ですが・・・オオッ!と思う演武もあるものの、ウ~ン・・・と唸ってしまうようなのも正直、ありましたね。

 それで、260分もあるので、何か眠くなってきたりする訳ですよ。

 でも、そういう時に絶妙な具合で目の醒めるような演武が?・・・って、これ、あまりの下手さにビックラこいちゃって目が醒めるという初体験をしましたね・・・。

 合気道や少林寺拳法が、いかにレベル高いか?ということを再認識させられます。

 そういえば、根岸流手裏剣術は収録されていませんでしたけど、やっぱし刺さらないから外したんでしょうか?

 正直、練習不足を感じさせる流派もありましたが、それは仕方がない面もあるでしょうね。後継者がいないとか、指導者がいないとか・・・。

 ここ最近、書店回っていて気づいたんですけど、武術のブームはもうとっくに終わっていますね。もう、世間は注目してないですよ。

 でも、これでいいのかもしれない。

 古武術=介護術=身体操作という構図ばかりが無批判に拡大されてしまって、「介護を学びたいから柳生新陰流に入門したい」なんて、トンチンカンなことを真面目に考える人が結構出てきていたんですね。

 本当にバカな状況でしたよ。よしゃあいいのに、そのバカな状況にタダ乗りしようとして身体操作の理論で武術武道を語り尽くそうとする自称専門家がゾロゾロ出てきて、恥ずかしい状況でした。

 だって、金輪際、身体が動かない連中が身体操作がどうこうって語ってるんだもん。阿呆か?としか言えない・・・。

「本当の身体操作とはアクロバット的な動きではなく動きの精妙さにあるのである」なんぞと大ボラ吹いて威張りたがる連中の精妙な動きなんて、素人レベルの小手先技でしかないっちゅうんですよ。

 プロのダンサーと比べたら話にならないよ~。

 古武術の真価というのは、身体の動きなんてのにはありません。そんなものは基本以前の基礎の話です。それよりも、“相手を読むこと”・“そして戦略をたてられること”が重要です。

 皆、勘違いしているのは、古かろうが新しかろうが、武術は自分の身体の動きなんか大して意味はなく、それよりも相手の身体の状況を一瞬で読むことの方が遥かに大事だってことです。

 外見を観察して読む・接触して皮膚感覚で読む・気配を読む・・・この“読み”が最も重要なんですよ。“読み”のない武術なんか武術とは言えないのです。

 武道でも格闘技でもレベルの高い人は皆、これを駆使している訳です。自分の技の威力やスピードばかり高めようとしても意味ないんですよ。だって、誰も黙って打たれたりしないでしょう?

 日本の古武道の多くが二人組んで型稽古を繰り返すのも、実は“読み”の訓練が主目的なんですよ。だから、それを無視して馴れ合いで形式だけなぞっていても上達しないということですし、居合道のように独りだけで演武を繰り返すものだと対敵動作として向上していかない訳です。

 空手の型無用論も、そこから出てきた訳ですね。だから、空手は分解組手で型から技の用法を抽出していかないと意味不明なままです。

 けれども、古武道大会を見ていて問題だと思ったのは、淡々と型を演じるだけなので、何をやっているのかよく解らない・・・という点なんですよ。

 意味が解らないのが一番、辛い。

 その流派ごとに解説者を一人出して、「この技はこういう意味があって・・・」って具合に説明しながらやった方がいいよな~と思いました。

 昔はNHKでも放送されたりしたことがあって、高橋賢先生が解説した時はまともだったんですが、一度、何か作家か誰かだったのか、何かトンチンカンな解説した人がいましたね~。

 琉球古武術の演武で釵が出た時に、「何でしょうかね~? あの武器は十手みたいですね~」とか言っちゃってて、そんな無知な解説者を呼ぶんじゃないよっと思いました。

 でもまあ、お目当ての雲弘流剣術はバッチリ見れました。

 型はとてもシンプルで、ケレン味はありません。しかし、オッと思ったのは、技をキメた後に右手で木刀を提げて無構え自然体になって退く点でした。

 この自然体と八相と正眼しか構えを取りません。技の使い方も相打ちのタイミングの合わせ技。相手の斬り下げた刀の峰を叩き落として斬る動作が多かったですね。

 ただ、片手打ちの剣法だった無住心剣術とはかなり違うな~と思いました。

 その他、初実剣理方一流は、物凄くギリギリの体捌きで躱しながら斬り返すところが見事でしたし、荒木流拳法もダイナミックで古武道らしからぬ野性味があって見ごたえありました。

 練度の差はありましたが、それぞれの流派に伝わる技の工夫は見事でした。だからこそ、先人の伝えた工夫を無にしないよう、伝えられた者は研鑽を積んで、できることならより発展させていくのがいいんじゃないかな~?と思います。

 また、型の演武ということなら、殺陣の表現法に倣うべきだと思いますね。

 正直言って、古武道の演武を殺陣の専門家チームがやれば、見違えるようなレベルになるだろうな~と思ったからです。

“演武”というのはパフォーマンスなんですから、「オオッ! スゲーッ!」って思わせるように演じないとダメだと思うんですけどね。


関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索