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太極拳の真価とは?

 今回は、少しばかり太極拳について書いてみます。

 太極拳と言えば、私が武術を志した中学時代、今は無き熊本交通センター2Fの本屋さんで買ったサンポウブックスの『秘伝! 陳家太極拳入門』ですかね~?

 いや、その前の『男組』かな~? この漫画で初めて中国拳法の存在を知ったんですからね。太極拳のみならず、蟷螂拳や八極拳も出てきていました。猛虎硬破山とか旋風脚とか二起脚とか練習したもんね~。

 とにかく、剣道は体験していましたけど、私にとっては武術を本格的に始めた切っ掛けとも言えるのが太極拳であり、でも当時はどんな武術なのかさっぱり判らず、本を見ながらイメージ練習していただけでしたね。

 実際に太極拳を初めて体験したのは、西荻窪ほびっと村で大友映男さんに習ったのが本当に初めてでしたね。確か20代後半の頃だったと思いますから、甲野氏のところを離れてからだったと思います。

 太極拳を知ってから十数年も経過していたんですよ。

 30になった年に躾道館(当時はまだ会の発足前だった)の小林直樹先生と出会って、小林先生の99式太極拳も少し習いましたが、この時に小林先生がやって見せてくれた即興の太極拳が、いまだに私の中では太極拳の最高峰に思えます。

 いや、ビックリしたの何の・・・陳式太極拳の発勁も凄いとは思うんですけど、小林先生はこれをドカンドカン連発して見せたんですね。まさに下丹田から威力が爆発的に出てくる感じで、20mm機関砲を連射しているみたいな感じです。

「内功ができていないで、こんなことやると身体を壊します」と、小林先生は言っていましたが、確かにその通りなんですね。だいぶん内功ができて私もそこそこできるようになったから、今は解ります。

 その後、松田隆智先生の陳式、高小飛先生の呉式、小用茂夫先生の陳式、関本スミ先生の楊式の演武も見てきまして、いくつかの太極拳を比較研究する機会に恵まれましたけれど、専門にやっている人はいろいろ意見もおありでしょうけれど、私個人的には、「太極拳は内功が生命で派閥の違いは意味がない」と思っています。

 もちろん、孫式、武式、和式、忽雷架、鄭式、常式とか、私の見たことない太極拳の派閥もたくさんありますが、そんなに異質で丸っきり違うことはやらないでしょう。

 陳式は纏絲勁と沈墜勁を活用した発勁動作が特徴的ですが、他派は紬絲勁で内功を練ることを稽古の主眼にしているだけで、やろうと思えば発勁はできるでしょう。

 内功で内力が練られていれば発勁の威力も充分過ぎるくらい出せると思いますよ。

 うちでも中級の太極拳で、「中国のラジオ体操」と揶揄されている簡化24式に、発勁動作を加えて稽古することにした訳なんですが、思った通り、ガラッと変わって、見た目にも戦闘的になりました。

 もっとも、実は、これは初心者に教えても体得できないばかりか、熱心にやればやる程、身体を壊してしまう危険性があります。

「これは一日一回しかやっちゃダメ!」と言って教えたんですけれど、内功が練られていないと身体を壊しかねないし、沈墜勁で脳震盪起こしかねないからなんですね。

 台湾の太極拳家で震脚をドカンドカン打ってやっていた人が、突然死してしまったとかいう話を聞いたことあるんですが、きちんと威力を手先に流せないと脳ミソ壊しますよ。

 北島師範はすぐにできましたが、矢嶋師範代は沈墜勁で脳震盪を起こしそうになっていて、「これは頭に響きますね」と言うので、「震脚で下から上がってくる反動を肩甲骨を開いて上手く手先に流さないとダメ」と、やって見せたら、すぐにできました。

 彼はダンスで身体の連動のさせ方を理解しているので、すぐに体得できて、「なるほど~」と感心してましたが、胴体が固まっている人は、これができないので、モロに脳震盪を起こすでしょうね。

 基本的に太極拳は胴体を柔らかく連動させられる人間でないと発勁の威力はきちんと出せません。だから、身体が練られていない人間に発勁やらせると自爆?して脳震盪起こしたり関節壊したり筋を痛めたりしてしまうんですよ。

 内功というのは何か?と言うなら、私の解釈は腹圧が高まることですね。下丹田ができてくると腹圧の圧縮の感覚が具体的に出てくるので、その圧縮の弾む感覚に合わせて太極拳の動作の中で発勁を織り込めば、非常に切れ味鋭い打拳が出せます。

 ちなみに、太極拳の発勁動作のうねるような畜勁からの連動を「動きが遅い」と捉える日本武術家もいますが、これは用法を勘違いしているんですね。

 太極拳の発勁は離れたところから空手やボクシングのように打ち込む訳ではなく、あくまでも接触してから発するものであって、粘勁で粘り着くように密着して相手が逃げられないようにした上で最大威力の発勁を打ち込む・・・だから一撃で倒せる訳です。

 この戦法は、通常の拳法が離隔したまま突き蹴りを打ち合って戦うのに対して、接触して間合を潰した状態で相手が攻撃できなくした上で強烈な一撃で打ち倒す・・・という拳法破りの戦術として工夫されたものです。

 ですから、太極拳で空手やボクシングと戦うなら、相手の突き蹴りが繰り出せないように密着しないといけない訳です。この密着するための方法論(招式という)を秘伝として隠しているから、「何年修行しても使えない」と思っちゃう訳ですね。

 まあ、隠して教えてくれないなら、自分で考えればいい訳ですよ。「秘伝というものは~」とかほざいてるヒマがあったらテメーの頭で考えなさいって言いたいですね。私は自分で考えましたからね。無論、ヒントはいろんな先生に教わりましたが・・・。

 確かに太極拳の良さは、接触したらこっちのモンだってことです。くっついてしまうと相手は打てない。関節技か投げか絞めしか出せない。でも、こっちは自由自在に打てる。鳳眼拳も龍頭拳も骨法拳も指環拳も陰掌も陽掌も弧口も前腕も内腕も肘も上腕も肩も顎でも額でも背中でも腹でも、どこでも接触してるところからボンッと打てる。

 ローキックも、ほとんど接触したまま蹴って相手がバターンと倒れたりするので、発勁の威力に関しては私は絶対的に自信あります。

 王樹金老師が外人の弟子にハグして腹でボンッと発勁かましている映像を見て、私も一回、やってみたら、できましたね。下丹田ができるとこういうこともできる。

 発勁打ち込みながら投げるとか、関節極めたまま発勁かますとかしたら、文字通り必殺技になると思いますよ。試したことないけど。

 私は、「接触したらもう俺の勝ちだ」と思ってるから、安心してくっつけるし、フットワークで逃げ回るヤツをも追い詰められる超神速歩法を練習しているのも、そのためなんですよ。

 そういう意味では純粋な太極拳じゃないと批判されてもいっこうに構いません。私は勝てる武術を研究しているのであって、能書きたれてエバりたい訳じゃないから・・・。

 でも、内功を練ることが、こんなにいろんな点で武術的に役立つとは思っていなかったですね。

 第一に威力。ぞっとするくらい威力出ます。重心移動で打つ威力が腹圧で圧縮されて爆薬で打ち出されるような感触がします。

 第二に防御力。多少、打たれても効かなくなってきます。というか、打たれた瞬間に身体が勝手に跳ね返す感じ。全身がゴムボールみたいになってきた感触です。

 第三に身法。歩法も含めてやたらスピードが出せる感じがします。

 私だけだと気づかなかったと思うんですが、北島師範がかなり内功のレベルが上がっているので、彼の上達具合を見ていると、よく解ります。彼は175cmくらいだと思いますが、何か稽古してると2m以上の巨漢に見えたりするんですね。内功のレベルが上がってるからオーラが広がってるのかな?

 以前は内功にはこだわっていなかったんですけど、2003~2004年くらいに丹田歩法を始めてから、ガラッと変わってきましたね。

 結構、この下丹田の腹圧が無いままで陳式太極拳の演武をやっている人もいたりするんですが、やっぱり形だけで内力が感じられません。

 逆説すると、内功の練られた人だと八卦掌でも八極拳でも空手でも合気道でも凄い威力を感じさせます。

 沖縄空手の高齢の先生方を見ると、この内功を練ることを非常に重視されているのが判ります。下腹をキュッと持ち上げるような動作がありますが、アレが下丹田を練る練功法なのです。

 本土に伝わって以降の伝統空手だと、この動作はあまり強調されません。そのかわり、腰を横方向にキル動作が重視されています。

 フルコンタクト空手になると、下丹田を鍛えるという発想そのものが薄れてきて、合理的な攻防動作が主体になっていきます。

 こういうことを書くと悪口を書いていると勘違いして怒るウッカリ者が多いんですが、私は基本的に武術武道に流派の優劣はないと思っていますし、どんな達人にも欠点がない人はいないと考えていますから、“批判=建設的提案”のつもりで書いています。

 欠点を指摘するのは、「そこを直せばもっと向上しますよ」という研究家としての老婆心なんですから、ケツの穴の小さい文句はつけないでくださいね。

 向上したくないのなら別ですが、学ぶ以上は向上しなきゃ~つまらないでしょう?

 私は向上心のない人間は嫌い! 本当に嫌い! 話していて気分が悪くなるくらい。

 男と生まれたからには地上最強か天下統一を目指すのが男のロマンというもの。ノミが屁こいたようなチンケなこと考えて人生送っちゃ~ダメっ。全身全霊をかけてやりたいことをやって生きるのが男の本懐ですよ。(あっ、女性の方も一緒ですよ~)

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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