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大刀剣市の続き・・・

 大刀剣市って、私みたいな刀剣中毒者にとっては、シャブ中患者がケシ畑に迷い込んでしまったようなもんで、「サリンジャーとかって作家(何か、小型ピストルの代名詞デリンジャーにも似てるな)が書いた『ライ麦畑でつかまえて』ってベストセラーが昔あったな~。読んでないけど・・・」なんて意味深なような何にも考えてないような妄想が浮かぶくらい“夢の市場”でしたね。

 出展してるお店も、それこそB-1グランプリ狙ってるみたいな気合が入ってるんで、他の店に負けてたまるかぁっ!って感じの“名刀”から、でも来場者が確実に買ってくれるであろうバーゲン品まで並べていて、いや~もう、刀剣博物館に行ったような気分にもなりますが、祭りの出店を回ってるみたいな猥雑さもあって、人が多くて落ち着いて見れないのだけが残念。

 古備前正恒、備前長舩長光、肥前国忠吉、来国次、和泉守兼定(ノサダと呼ばれるヤツ)、虎徹興里、孫六兼元、水心子正秀、大慶直胤・・・少し前に社会問題にもなった映画『靖国』で知られるようになった靖国刀もありました。

 最近、なんとな~く、刀の出来を観て値段の高低の判別がつくようになってきましたが、個人的に「いいな~」と思うのは新々刀が多いことに気がつきました。

 武道やっていて刀が好きな人は、必ずといって「古刀がいい」と言うんですが、古刀で健全な姿形で残っているものは、大名家なんかで大切に保存されてきたような物であって、一般的に我々のような武術愛好家が入手できる数十万円程度の物となると、大抵は末古刀の数打ち物で、傷があったり焼け身だったり、何度も研いで研ぎ減りしてしまっているため、実用刀になるものは少ないと思うんですよ。

 第一、経年劣化しているから刃紋なんかもぼやけてしまっていたりして美的に優れた物は少ないんですね。

 だから、最近は現代刀の出来の良い刀もいいな~と思っていたりしたんですが、幕末期に作られた新々刀は、武的実用を考えて作られながら、百年ちょっとしか経過していないので鉄味が明るく冴えた物が多いように思います。

 市の関連開催で、坂本龍馬関連の幕末期の新々刀の展覧もあって、青木先生と青木先生の書道のお弟子さんの御婦人と一緒に観たんですよ。

 ここで改めて新々刀の素晴らしさに唸ってしまいましたね~。

 水心子正秀、左行透、山浦真雄(源清麿の兄)、大慶直胤、細川正義、固山宗次といったそうそうたる顔触れの名刀が並んでいたんですが、中でも青木先生は、栗原信秀の刀に目を止めて、「いや、これはいいな~。素晴らしいな~」と絶賛されていました。

 私も、信秀と大慶直胤の刀が気に入っていたので、「やっぱり、青木先生もこれがいいと思いますか~」と、日本の武道界を代表する大名人の見識と近かったことが嬉しかったですね~。

・・・っていうか、やっぱり、良いものは誰が見ても良いと思うものかもしれませんが。

 ちなみに、栗原信秀は、源清麿が自刃して果てた後に、亡師が注文を受けたまま金だけ貰っていた(酒代に消えた)注文刀を必死になって代打ちした弟子の一人で、清麿の作風を最も良く受け継いでいたと評価されています。

 世の常として、奇才と呼ばれるような優れた才能の持ち主は性格に難点があったりするものですが、源清麿はまさにそんな奇才の典型だったようです。

 放蕩無頼の限りを尽くして兄(真雄)やパトロン(窪田清音)に散々、迷惑をかけまくり、女たらしで大酒呑みで・・・といった破滅型の典型的な男。それが清麿だったようですね。

 これは、信秀同様に亡師の代打ちを務めるハメになった清人が、刀の茎に“名人は酒と女が好き”みたいなボヤキ文言を入れたくらいなので、そりゃあ、よっぽどひどかったんでしょうね。

 それは作品にも現れて、空前絶後の名作を打つかと思えば凡庸な作品も打ったりするというムラッ気のある刀工だったそうです。

 自刃して果てたのも、アル中で身体を壊して思うように刀を打てなくなったことに絶望して発作的に自殺したというのが真相のようです。

 何だか、アマデウス・モーツァルトみたいな感じもしますね。すると、清麿と“四ツ谷正宗”の称号を競ったという固山宗次なんて、さしずめ宮廷作曲家のサリエリってとこですかね?

 日本刀の代名詞である相州伝の確立者、正宗は、人格も優れた人物だったとされますが、その正宗をもしのぐくらい刀剣界で人気が上がっている清麿は、このような困った性格だったそうです。

 けれども、こういう人間臭い性格だからこそ人気が出たのかもしれませんね~。

 私も、人格者タイプの人は話していてもつまんないし、武道の世界は、皆、妙に人格者ぶるから、どうもね~・・・話の合う人が少なくなるんですよ。

 まあ、一言で言って“お笑いが足りない”よね。

 もっとも、私が言ってるのはユーモアセンスとか心の余裕、気遣いを言ってる訳なんで、単なる礼儀知らずな問題発言を連発するような人間は嫌いですよ。

 知人の道場を尋ねた時に、そこの道場生が睨んできたので、「ちょっと、技見せてあげましょうか?」って言って、バッカーンと平手でぶっ叩いたことありますよ。

 余談ですが、会場で青木先生がお知り合いの秘伝の編集者の方がある中国武術の有名な先生と一緒に来られていて、青木先生が名刺交換された時に私も紹介してくださったので、不躾ながら名刺交換させていただきましたよ。

 でも、この業界の方は私の悪名が轟いている(業界のタブーをバンバンばらしてしまうキチガイというような噂)のを聞いている筈なんで、何か、軽く引いているのが判るから、逆に申し訳ないな~とか思っちゃうんですよね~。

 まあ、私は、狭い業界なんで毒にも薬にもならない小物扱いされるより、いっそ狂人扱いされて恐れられる方がポジション確立できるから光栄だと思ってて、悪口言われてもヘラヘラしていられるんですけど(目の前で言ったらどうなるか、実験してみますか?)、“業界ナンバー1の危険人物”だと思っている人間を紹介された相手は嫌だろうな~とか思っちゃうんですよね。

 それにしても、こんなに気を使ってくださる青木先生には感謝してもし過ぎることはありませんよ。

 これまた余談ですが、クエストさんのDVDの印税支払い明細書が届いて、いつもより妙に金額が高いので、「アレッ? DVD出てから一年も経過しているのに、何で、今回はこんなに貰えるのかな~?」と不思議に思って、明細書をよく見たら、何と! 剣武天真流DVDの著作権印税も企画料金額と同じ率で振り込まれていたんですね。

 いや~・・・実は、業界で悪名が轟いている私の名前が出たりして青木先生に御迷惑がかかったりしてはいかんと思って、「名前も出さないでください。お金も貰えません」と制作担当者に言っておいたんですよね。

 ほら、よく有名人がヤクザと付き合っていると「黒い交際が・・・」とかバッシングされたりするじゃないですか? 私はヤクザじゃないけど、業界で問題人物視されているのは事実ですから、私とかかわった先生方に御迷惑はお掛けしたくないと思っちゃうんですよね。空手道と合気道のDVD付き教本の原稿書いた時もペンネーム使ったし・・・。

 私は自分なりの使命感で、「誰かが悪党になっても本当のことを書いていかないと武術の世界はダメになってしまう」と思ってハラ括ってやってきたから、他人に何と評価されようが構いません。

 だって、他人の評価なんかより“自分の矜持”を頑固に死守して生きる人間の方がカッコイイでしょ? 田中泯さんなんて、本当にメチャクチャ、カッコイイもんね~。日本で一番、カッコイイと思うよ。映画で見た時も思ったけど、実物に会ったら、もっと思ったよ。

 やっぱ、男はあ~でなくっちゃ、ダメでしょ?

 だけど、やっぱり、お世話になった先生方に迷惑はかけたくないんですよ。

 でも、「名前を出さない訳にはいかない」という社長さんの鶴の一声でDVDのジャケットには“協力”ということで私の名前も書いていただいています。これは納得しました。

 しかし、これだけでも恐れ多いと思っていたのに、まさか、企画協力分の印税まで頂戴するというのは・・・と、会社に電話して御辞退しようか?と思ったんですね。

 でも、やっぱり、社長さんが筋を通すのがビジネスの鉄則という信念で振り込んでくださったんだろうな~と考え直して、有り難く頂戴することにしました。

 思えば、私が武道マスコミから締め出しを食らっていた頃に声をかけてくださった中のお一人がクエストの社長さんでした。

 武道の映像出版業界では、印税不払いで裁判闘争になったとか、制作費まで先生に出させたとかいった話をよく耳にしていたし、正当な報酬を払わずに趣味的な仕事をやらせていたといった事柄が普通にありました。「金のことをゴチャゴチャ話すのは見苦しい」と思う武道家が多いからか、それでも大した問題にならずに業界内の常識みたいになっていたのです。

 改めて、いい会社とご縁をいただいたな~と思うばかりですし、剣武天真流DVDの売れ行きも良いみたいで安心しました。やっぱり、良い物は売れて欲しいですよね。

 11月19日には、ついに私の恩師にして、交叉法と読み、そして武術を学ぶ者の心得るべき事柄について教えていただいた小林直樹先生のDVDも出ます。是非とも、一人でも多くの方に見ていただきたいと思っています。

PS;ユーチューブの動画に、9月の型の研究セミナーで指導している様子を撮った映像をアップしてもらっていますので、御笑覧くださいませ。今度は私も中国武術や居合の技など、いろいろ実演しております。参考にしていただければ有り難いです。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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