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『小林直樹 躾道館武術・嫡流真伝中国正派拳法編』DVD発売迫る!

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 あ~、長かった・・・。

 十年一昔と言いますが、私が「やっぱり、武術は凄い! 本物の達人は実在したんだ!」と感銘を受けたのが、ちょうど、30歳になった頃でしたから、17年、いや、18年近くかかりましたかね?

 私の著作を愛読してくださっている方なら、私が度々、書いてきている“謎の中国拳法家”“無名の達人”“超神速の歩法を駆使する拳法家”“瞬撃の交叉法”“電光廻し蹴り”“北斗百烈拳を超えた超加速掌打”・・・etcと表現してきた、躾道館を主宰する小林直樹師範のことは御承知と思います。

 大日本講武會の櫻公路一顱先生に、嫡流真伝中国正派拳法(ちゃくりゅうしんでんちゅうごくせいはけんぽう)を学び、唯一、その真伝を受け、後に幻の中国拳法家と呼ばれた澤井健一先生の最晩年に師事し、太氣至誠拳法(たいきしせいけんぽう)を学び、以後、ただひたすら地道に研鑽を重ね、自ら求めて弟子を募ろうとせず、「武芸の修行は自己の修養のため」という意識で日々を過ごされていたのです。

 もっとも、大日本講武會時代の先輩に頼まれて子供に空手の指導をしていた時に、一人の若き修行者が尋ねてきたことから、小林師範の運命が動き出します。

 その修行者は、伝統空手・フルコンタクト空手を修め、若くして武芸全般に精通し、後に日本人で初めての中国散打の中量級チャンピオンとなった岡部武央師範の若き日の姿でした。

「中国拳法で物凄く強い人物がいる」という噂を聞いて、小林師範を尋ねた岡部青年は、実際に立ち合うこと三度に及び、次元の違う“技と理合の強さ”を認めて小林師範に弟子入りを願い出ます。

 こうして師独り弟子独りの指導が始まります。

 が、指導といっても毎回が狂気さえ感じさせる“立ち合い”であったようです。小林師範にとっての武術とは、生きるか死ぬかの殺し合いを生き残る術であり、生半可な気持ちの者には無用のものだという認識がありました。

 ですから、一般的な武道を学ぶ感覚の人間は弟子入りを許さないのが、この当時の小林師範の矜持とするところでした。

 それは、櫻公路先生、澤井先生がそうであったからこそ、自分もそうすべきであるという信念があったのでしょう。

 殺伐とした真剣勝負を思わせる師弟の修行の様子を、私は間接的に耳にしただけで、実際に目にはしていません。

 私が尋ねた頃には、岡部師範の兄の宜史師範と、稽古仲間の小川さんがいましたが、どなたもバリバリの武道家気質。いずれも現在は躾道館の師範となっていて、今回のDVDでも模範演武役を務められています。

 小林師範は、極めて武術家らしい武術家でした。

「強くなりたかったら、俺の言う通りにやれ。できないなら、強くなるのは諦めなさい」と、はっきりと宣言していたからです。

 清々しいまでの微塵もブレのない考えです。恐らく、小林師範の真の強さは、このブレの無さだと私は思っています。信念の通りに実践できる強さです。

 もし、本気で動いたら、どれだけの斬れ味を発揮するんだろう?という身震いするような“怖さ”を、久しぶりに感じました。

 交叉法・読みを駆使する武術家というと、この業界で最も知られているのは宇城憲治氏だと思いますが、このDVDを観る眼のある人が観れば、天地の差があることは一目瞭然に解ると思います。

 かつての宇城氏であれば、小林師範と五分だったでしょうが、現在では勝負にならないでしょう。

 どこに差があるのか?というなら、“眼”です。

 今の宇城氏は聖人君子になりたがっています。大衆から崇められたがっている。どんな立派な大義を口にしても、それを素直に信用させられない権勢欲という名前の“邪気”が混じっている。

 邪気、邪念は武道にとって最大の敵です。心法(読み)を曇らせてしまうからです。

 事実、宇城氏が野地師範に指導している映像を動画で見ましたが、後ろに退いているシーンを見て、“あっ、自分の得意な間合を保持していないと技が出せないんだ”という弱点に気づきました。

 つまり、読みの技能が低下していることを如実に顕していたのです。

 身体操作はよく観察すれば誰でも判りますが、心法は外見で判断するのは難しいものです。しかし、眼にはよくそれが顕れます。

 目付けで、「相手の眼を観ろ」と言われるのは、心理状態を観察せよという意味です。

 こう言えば、武道の経験の深い人は納得されるでしょう。

 小林師範と宇城氏の眼を観比べてみたら、私がデタラメを書いているのでないことは判る筈です。わざわざ、実名を出して比較するようなことを書いているのは、宇城氏の反省を期待する気持ちもあるからなんですが・・・。

 小林師範が頑なに、これまで世に出るのを拒んできていたのも、小林師範の能力の核心が心法から来ているものであることを、感覚的に自覚されていたのも関係あると私は思います。

 御自分でも、昔、「人間は弱いものだから、俺だって周囲からチヤホヤされていたら自惚れちゃうでしょう? そうなったら技も曇るんだよ」と言われたことがありました。

 それから、「人間は自分独りで強くなれる訳じゃない。教わった先生や先輩のお陰なんだから、縁は大切にしなきゃいけない・・・」とも言われていました。


 私の知る普段の小林師範は、ユーモアがあってお茶目な人です。

 ところが、やはり、武術となると鬼のような厳しさが出てくるのです。今回のDVDで小林師範の眼は、ほとんど笑っていません。今にも獲物を喰い殺そうと狙っている虎のような野獣的な眼です。怖いですよ。

 もしかすると、小林師範はDVDを作ることを決意してから、相当に自身を精神的に追い込んで臨んでいたのかもしれません。

 クエストの制作担当者の方と電話で話した時、過日、私がある中国武術家の演武をボロクソに貶していたのを、「確かに、長野さんが言うように、小林先生のあの太極拳を見たら、比較にならんですよね~」と、唸っていました。

「そうでしょう。小林先生の太極拳は、内功の力が内勁を伝わって打ち出されていくのが解るんですよ。僕は、アレが基準になってしまったから、誰の演武を見ても凄いと思えなくなっちゃったんですよ」と話しました。

 そして、担当者の方も私も、小林師範の真価を映像作品に収録することで、「中国武術でここまで凄い人が日本にいるんだ。中国武術がダメなんじゃない」ということを、広く武道・格闘技の世界の人達に知ってもらいたいという気持ちで一致していました。

「本当に、どこに出しても恥ずかしくない作品ができました。でも、できるだけ多くの人に観てもらえないと・・・」と言われていましたが、私もまったく同じ気持ちです。

 小林師範は、これまで公で演武したことすらありません。

 今野塾の大会で招待演武をした時も弟子にやらせて御自分はやりませんでした。

「いつまでも師匠が表に出ていたらいけない。弟子を育てて送り出すのが師匠の義務だから・・・」と言われていましたが、そもそも自分でやったことないんですから、これを聞いていた時は、ちょっと頭痛しましたけどね~。

「武術は他人に見せて誇るためのものじゃない」という考えからなのでしょう。

 私があちこちで書いたために、弟子入りを求めて尋ねてくる人も増えましたが、そのほとんどが厳しい練習についていけずにやめていったようです。

 一度、酒席で、「俺はフルコンタクト空手の大会で上位三位以内に入賞するくらいのヤツにしか教えたくないんだ! オタクみたいなヤツには教えたくないっ!」と、どやされたこともありました。

 なので、私は、今現在、よっぽどの逸材でない限り、興味本位で小林師範に習いたがる人を紹介したりはしていません。

 文化系の人は、どうせ、続かないのが解り切っていますし、DVDを観れば解ると思いますが、組手の厳しさは一種独自のものがあります。

 ただし、このDVDは、交叉法の根幹を細かく解説実演してくれていますから、武術の真の実戦を求める人にとっては、まさしくバイブルになる内容だと私は確信しています。

 以前から、小林師範の強さは太気拳のものであると考えて、学びに来る人が多かったと思うのですが、私個人は、むしろ、嫡流真伝中国正派拳法の伝える“交叉法”に秘められた可能性を感じていました。

 無構え自然体から繰り出される瞬撃の攻防は、まさに素手でおこなう居合術というべきものであり、現に、私は、交叉法を居合術に応用して独己九剣を創作しました。

 この櫻公路師範が考案した理合こそ、あらゆる武術に共通する普遍性があると考えたのです。私が別流派を立てて小林師範から距離を取るようになったのも、気質的に私が研究家タイプだったからですよ。小林師範は良くも悪くも師伝を変えることを許さないでしょうから・・・。

 そういえば、「うちの技を名前を変えて教えているのはどういう訳?」と聞かれた時、「僕は先生からきちんと教わっていないんだから、そのままの名前で教える訳にはいかないじゃないですか? だけど、源流が何か?ということは全部、明かして一つも嘘は言っていませんよ」と答えたら、「・・・う~ん、そうか・・・」と、納得されていたみたいですが、“俺の教えた技を利用して勝手に流派名乗って教えるなんて・・・”と思っておられたことは明白でした。

 それはまあ、小林師範の周囲の人達もそういうでしょうし、私もわざわざ許可取ったりしていませんからね。嫡流や太気の名前を使うんだったら、もちろん、「宜しいでしょうか?」ってうかがいますよ。当たり前ですよね。

 例えば、ある流派を破門された人間が、その流派を名乗って教えていたらマズイでしょう? これは別に武術じゃなくても、ラーメン屋でも飲み屋でも何でも一緒ですよ。

 DVDを見れば判ると思うんですが、理合はそのまま継承していますが、私の技は拳法というより合気体術に近いんですよ。小林師範は“拳法”であることに誇りを持っておられますから、いろんな技をミックスさせたら怒るに決まっています。

 だから、私は別の流派を興して自分の理想の武術を研究していったんですね。私が筋違いなことやってますかね~?


 ですが、嫡流真伝中国正派拳法を基盤にすることによって、小林師範の太気拳は大きく開花していったのだと私は確信しています。

 とすれば、同様に、あらゆる流派にも応用が利く筈でしょう。私はそう考えて、游心流という流派を名乗る中で様々な流儀の技を検証していき、そこから自然発生的な技の用法を組み立てていった訳です。

 なので、心ある修行者は、このDVDを買われることを強くお勧めしたいですね。

 ただ、武術に甘い身体操作だの何だのと能書きをぶら下げておきたい人が観たら、ショックを受けて修行をやめたくなるかもしれません。

 それほど、このDVDの本質は苛烈で、甘い考えの愛好家を受け付けない峻厳さがあります。

 実際、私はショックです。改めて自分の凡庸さを思い知らされて寝込んでしまいそうでした。

 まだまだ実力の片鱗も見せていないんだろうな~・・・というところまで解ってしまったので、絶望的なまでの厳しさですよ。「俺は強い」とテングになっていたい人は見ない方が無難かもしれません。

 けれども、「中国武術は形ばっかりで弱い」と思っている人は、是非、観てもらいたいですね。中国武術も分解して練習すれば、沖縄空手のような合理的なものだからです。

 今回のDVDを基本編として、次に出る太気拳のDVDを応用編とすることで、中国武術の本来の実戦性の高さがきちんと評価されるだろうと思います。

 私の本やブログを読んで、DVDを買ってくださる方々であれば、游心流の原点である躾道館の技も理解しやすいと思いますし、何よりも、小林直樹師範の実際に動いている映像を見て欲しいと思いますね。

 ちなみに、北島師範に見せたら、フフフッと微笑みながら、「やっぱり、長野先生の先生なんだな~と思います」と言っていましたが、どこか似ているところがあるのかな~と思いましたね。

 DVDの終わり加減で、小林師範が説明しているシーンでは、確かに、何かギャグを言いたくてたまらないようなウズウズ顔?をしてらっしゃいましたが・・・。


追伸;本DVD中、小林直樹師範の紹介ナレーションで、“弟子たちの活躍によってのみ、その強さを噂されるだけであった・・・”みたいに言われていて、思わず、「それってオレだよ、オレ!」とオレオレ詐欺みたいにつぶやいちゃいましたよ。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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