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ソード・スミスNAGANOと呼んでくだされ・・・

 年末にやる予定だった、二尺七寸の幕末新々刀の外装製作ですが、体調が悪くて手付かずだったのを、体調が治ったので、現在、やっております。

 とにかく刀身のゴツさに比べて茎(中心=なかご)が短いため、これは普通に柄を作ったら、強く振っただけで柄折れするのが目に見えています。

 昔の刀は、結構、茎が短かったりするんですけど、何でですかね~? 槍とか薙刀だったら茎は刃長より長かったりするんですけどね。

 で、これは柄そのものをかなり補強しておかないといけないと考えて、以前、小宮四郎国安の刀の時にやった、“平鉄棒を柄木に埋め込んで針金で巻く”という作業をもう一度、やってみることにしました。

 これは三尺二寸一分の大太刀の柄を作る時に真鍮の平棒を埋め込んだことから思いついた製作法なんですが、目釘穴が邪魔になるので、前回は目釘穴の下から埋め込んだんですね。

 しかし、今回の刀はさらに重量があるので、万全を期して縁頭の金具から目一杯の長さに埋め込むことにしました。

 平鉄棒は厚さ2mm、幅1.5cm、長さ1mのものを町田の東急ハンズで買ってきて、寸法を合わせて鉄鋼ヤスリで刻み目を入れて曲げて折る・・・というやり方で四つにし、この板状の棒を二つずつ柄木の側面にはめ込むように彫刻刀とノミで溝を掘ります。

 今回、柄木は白鞘のものを改造しているので、その分は楽なんですが、ただでさえ薄く削らねばならない柄木に、さらに平鉄棒を埋め込む訳ですから、結構、慎重に削らないといけません。

 そして、今回は、刀の重心があまりに先にあるので、使い辛くなるのが予想できたので、少しでも重心バランスを後ろに寄せるために、茎尻から余っている柄木の中に板鉛を巻き込んだ重りを仕込んでみました。

 これまた、地道に柄木を削って重りを入れるスペースを作ろうとしたんですが、平鉄棒の厚さをプラスすると柄木を貫通させるしかないということに気づき、それをやると下手すると強度不足になりかねないので、ちょっと悩んだんですが、重りを仕込んで隙間にたっぷりと接着剤を充填して固めれば、平鉄棒で蓋をする形になるから、多分、強度的には問題ないだろう・・・と判断して、完全に貫通させて重りを仕込みました。

 結構、ここまでの削り作業は面倒臭くて、彫刻刀とノミとヤスリをとっかえひっかえ、微調整しながら削り込んでいったので、いつもより少々、てこずりましたね。

 それでも、狙い通りに重りと平鉄棒を埋め込んだ柄は、結構な重量感があり、これなら完成した時の重心バランスも割りと良くなるんじゃないかな~?と思いつつ、補強用の針金を巻く溝を三角ヤスリで削り、針金を巻きました。

 平鉄棒をはめ込む時に目釘穴の部分を丸鉄鋼ヤスリで削って位置を合わせておいたんですが、この時に目釘穴も広げておきました。

 白鞘の時の目釘は細くて、それをそのまま流用すれば折れてしまいそうだったからなんですね。

 茎の目釘穴の八割り以上の太さの目釘にしておかないと、この刀の重さを支えるには心配です。白鞘の目釘は、だいたい、細過ぎるのです。仮留めのつもりだからなんでしょうかね?

 そもそも、ヤクザ映画なんかで白鞘の刀を使ったりしていますが、白鞘は保存用の軟らかい朴の木で作られているので、それで試し斬りとかしたら柄が折れてしまったりするのです。

 試し斬り用の斬り柄などは、白木の柄を責め金で締めて用いますが、朴ではなくて樫などを使うと聞きます。これは『必殺仕事人・激突!』で滝田栄さん演じる首斬り朝右衛門が使っていましたが、身幅が広く二尺六~七寸くらいのダンビラに斬り柄をはめて仕事に赴くところが非常にカッコ良かったですね~。滝田さんの重厚な殺陣は素晴らしかったですね~。


 まあ、後は、黒染めの鮫(エイの革)を、東急ハンズの皮革コーナーで買っておいたので、これを張り付けて、金龍の目貫を付けて、柄糸は焦げ茶の牛革のを尚武堂さんに注文しているので、それが届いたら柄は完成です。

 鞘の方は、これも、いつもより強化して作ろうと思っていまして、コジリ金具を装着したり、鯉口のところが割れないような細工もしておこうと思っています。

 この辺りの工夫は、青木先生の刀の外装を作らせてもらったのが勉強になりました。

 完成までには、後、一週間は必要かと思いますが、今回は苦労している分、完成が自分でも待ち遠しいですね。鮫を貼った状態の柄を装着して軽く抜き納めしてみましたが、強度的には問題ない感じにできましたよ。

 ちなみに、先日、青木先生から頂戴した松葉国正刀匠が作られたスウェーデン鋼の刀は、刃毀れを削り取って研ぎ直し、曲がりを直し、緩くなっていた鯉口に薄板を貼って堅くし、ガタついていた鐔も直しました。

 後は刀身も研ぎ直したいところですが、また12万くらいかかってしまいそうだから、試し斬りと居合の練習用に、当面はこのまま使わせていただこうと思っています。


 ところで、アメリカでは、市販の拳銃をコンバットシューティング競技向けにカスタマイズする職人がいて、ガン・スミスと呼ばれます。

 主に、コルト・ガバメントM1911A1の45口径をベースにして銃身を取り替えたり、引き金を軽くしたり、安全装置のレバーを延長したり、調整式の照準器を着けたりするところから始まり、様々なカスタム・チューンナップが行われてきました。

 これは、1970年代くらいにコンバットシューティングの学校ができてから、急速に発展していったようです。

 私は、日本刀の拵えを自作するようになってから、もう20年以上になるんですが、作った数も20本以上になります。

 現在は、刀の機能をいかに引き出すか?という観点と、技を駆使するには、どういった拵えが良いか?といったことを考えながら、一振りずつ微妙に作り方を変えています。

 柄の長さ、太さ、金具の形、柄糸の巻き方、鐔の形状・・・等々。“これが良い”と思っても、やはり次に作る時は少し変えます。それは、刀の長さ、反り、厚み、身幅、重量等が違うので、それに合わせて変えざるを得ないからです。

 なので、アメリカのガン・スミスと自分がやっていることは同じようなものだな~と思うようになりましたが、もし、私がアメリカに生まれていたらガン・スミスの仕事をしていたかも知れませんね?

 日本ではナイフメイキングくらいならやれそうなので、前々から本格的に修行してみようと思っていますが、本格的にやるには専門の作業場にそれなりの電動工具を揃える必要があるので、道場兼自宅の一件屋にでも住まないと、ちょっと難しいですね。

 もうちょっと年とって田舎に帰ってから・・・という手もありますが、それをやるには経済的に困らない生活ができる身分にならなければ無理でしょう。

 できれば鍛冶場も作って鍛造ナイフとかも作りたいんですけどね。


 今年は、海外に游心流を出していこうと思っているのですが、その時に、マーシャルアーツの研究家という面と同時に、“ソード・スミス”という肩書を名乗るのもいいかも知れないな~と思っています。

 結構、刀の数も揃ったので、一回、長野峻也作品展とかギャラリー借りてやってみようかな~?とか思ったりしています。見栄えはしますよね。十文字鎌槍に薙刀、大太刀なんかもありますからね。メイプルビルにギャラリー游ってあるので、本当に一回、やってみようかな~?

 ところで、技の研究は武具の研究とも重なると思うのです。

 私は剣術を本格的に修行した経験がないのですが、日本刀の構造に詳しくなったことで、技の形を観ただけで、戦闘理論が判るようになったのです。

 考えてみてください。

 銃の構造を知っていれば、どうやれば命中するか?ということも自ずと判りますよね?


 剣術というのは、刀が教えてくれる面があるのです。

 特に、居合のように、腰に差した刀を抜刀一閃で敵を斬る技となると、剣体の一致が重要な要素となりますし、そこから間合や角度を読み、拍子を合わせたり外したりする高度な攻防理論が体得できてきます。

 それは素手になっても同じことなのです。

 刀の拵えを自作してきたことが、まさか、こんなに武術研究に役立つとは予想外でしたが、武道をやっている人は、木刀やヌンチャクなんかは自分で自作してみるといいと思いますよ。

 タイ捨流では自分の木刀は自作するそうですが、ナイフ一本で道具を作ったり、刃毀れしたら砥石で研ぐ・・・といった作業をすることは、サバイバル技術にも直結しますから、実は武術の修行にも役立つんですよね。

 ただガムシャラに拳足をぶつけ合っても手足を痛めると戦えなくなるでしょう? 道具を用いると、尚更、その問題点を痛感させられる訳です。

 刀が折れたらどうするか?と考えるより、折れないような使い方を工夫するのが武術なんですよ。

 私が、相手の攻撃を受けないようにしろと教えているのは、つまり、そういうことなんですね。

 受けるということは、相手の力にこっちも同等以上の力を出して受けるということですね。そうしないと受けられないですから・・・。

 でも、これでは基本的に自分より力の強い相手には勝てないですよね。

 だから、受けない。躱すか、受け流すか、力が最大になる前に潰すかのどれかしかないですね。躱すのは“後の先”、受け流すのは“対の先”、先に潰すのは“先の先”という訳なんですよ。

 どうっスか? 実に解りやすいでしょ?

 剣術が、何故に、先を取ることを要求するのか?ということの理由が、ここにあると私は思いますね。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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